北九州市小倉南区にある昭和池は、四季折々の自然に囲まれた静かな公園として親しまれている一方、古くから数々の心霊現象が報告されてきた場所でもある。今回は、昭和池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
昭和池とは?

昭和池は、1944年に竣工された農業用ダムであり、現在は「昭和池公園」として整備されている。
池の周囲約2.5キロには桜が植えられ、春には1200本ものソメイヨシノが咲き誇ることから、地元では隠れた花見の名所として知られている。
だが、その美しさとは裏腹に、この池には凄惨な過去が刻まれている。
戦前、この地の近隣には伝染病患者を収容する隔離病棟が存在していたとされ、多くの人命がそこで失われたという。
また、ダム完成後も複数の自殺が相次ぎ、特に女性の霊が目撃されるとの噂が絶えない。
日中の明るさが嘘のように、夜の池は異様な沈黙に包まれ、何かを引き寄せるような重苦しい空気が漂っている。
昭和池の心霊現象
昭和池の心霊現象は、
- 白装束の女性の霊が現れる
- 自殺者の霊が水面に浮かび上がる
- かつての隔離病棟の霊が現れる
- 存在しないはずのガードレールが突如消える
- 車に霊が同乗してくる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず目撃例が多いのは、白装束の女性の霊である。
深夜に池を訪れた者が、何もない場所に佇む二人の女性を目撃し、逃げ帰ったが、後にその女性たちが自宅の前にまで現れたという体験談がある。
また、池に自殺者の霊が浮かぶという噂も後を絶たない。
ある者は水面に浮かぶ白い手を見たという。しかも、その手がこちらを招くように動いていたという証言まである。
さらに恐ろしいのは、存在していたはずのガードレールが忽然と消え失せるという現象である。
まるで霊が訪問者を死へと誘導しているかのような錯覚に陥る。
そして極めつけは、車に霊が同乗するという報告である。
助手席に誰もいないはずなのに、ルームミラーには長い髪の女が映っていたという者もいる。
彼らの多くは事故にこそ遭わなかったものの、後日体調を崩したり、何者かの視線を感じ続ける日々に苛まれたという。
昭和池の心霊体験談
これは今から20年前、ある若者たちが実際に体験した話である。
免許を取得したばかりの青年が、地元の友人たちを車に乗せ、昭和池へ肝試しに訪れた。
同行者の中で唯一の女性・A子は、はじめから「行きたくない」と強く拒んでいた。
だが、周囲の説得と、半ば強引な流れでその場に同行することとなった。
現地に着いた彼らは、最初は何事もなく、ただのドライブになるかに思えた。
だが、B介の一言が空気を一変させた。
「もっと奥まで行ってみようぜ」
狭い道を進んでいくと、A子が突然悲鳴を上げた。
「あそこのガードレールの向こうに、女の人がいる!」
全員が目を凝らすも、見えるのはライトに照らされたガードレールのみ。
しかし、あまりの怯えように、運転していたB介と青年は車を降りて確認に向かった。
30メートルほど進んだところで、彼らの背筋は凍り付いた。
そこに、あるはずのガードレールが消えていたのである。
つい数分前まで確かに存在していたはずの鉄製の柵が、忽然と跡形もなく消えていた。
そして、その先は断崖。もしもあのまま進んでいたら、車ごと池に転落していたことは明白である。
彼らは恐怖にかられ、慌ててその場を後にした。
A子が見たという白い女は、果たして彼らを招く霊であったのか、それとも死を避けさせるために現れた存在だったのか。いまだに答えは出ていない。
昭和池の心霊考察
この場所に現れる霊は、過去の死者たちの怨念によるものである可能性が高い。
隔離病棟で命を落とした者、自ら命を絶った者、そのいずれもが強い未練を残したまま、この地にとどまり続けているのではないか。
また、存在しないはずのガードレールや、車に取り憑く霊の話から察するに、ここでは霊的な力が現実を歪めるほどに強く作用しているとも考えられる。
実際に、物理的に「見えていたはずのもの」が消えるという現象は、他の心霊スポットでも類を見ない稀有な事例である。
そして何より、A子の証言にある白装束の女性。
彼女は、死へと誘う存在だったのか、それとも死を止めた存在だったのか。
霊の意図は計り知れないが、少なくともこの地が「ただの池」ではないことだけは、もはや疑いようがない。
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