高津神社は那珂川市山田の深い山中にひっそりと佇む古社である。平安期から続く磐座信仰と稲荷信仰が交錯し、社殿へと続く長い石段と無数の鳥居は訪れる者に重い静寂と畏怖を与える。今回は、高津神社にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
高津神社とは?

高津神社は、福岡県那珂川市山田に鎮座する神社である。
別名「高津稲荷大明神」とも呼ばれ、古くから地元の信仰を集めてきた。
創建は平安時代にさかのぼるとされ、この地を治めていた原田種直が、前原市の高祖神社を勧請したことが始まりとされる。
磐座信仰と稲荷信仰が融合するこの神社は、豊宇気毘売神、原田種直、高津権現を御祭神として祀り、五穀豊穣・商売繁昌・家内安全・交通安全など、多岐にわたる御利益で知られる。
社殿は山頂の大岩の上に建てられ、そこに至るまでの道には、無数の鳥居と長い石段が続いている。
この険しい参道の途中から、何かに見られているような視線を感じると語る参拝者も少なくない。
また、かつて元寇の際には、山上の岩門城跡が砦として利用されたという歴史的背景もあり、戦の記憶と霊的な気配が複雑に交錯する場となっている。
高津神社の心霊現象
高津神社の心霊現象は、
- 首のない和服姿の女性の霊が現れ、参拝者を追いかけてくる
- 絶叫しながら迫ってくる女性の霊が目撃される
- 石段を登っている最中に背後から気配を感じる
- 鳥居の間に黒い影が立ち尽くしている
である。以下、これらの怪異について記述する。
この神社で最も有名な心霊現象は、夜中の石段で突如として現れる首のない和服姿の女の霊である。
彼女は無言で参拝者を追いかけてくるとされ、その異様な姿に恐怖で足がすくみ、逃げられなかったという証言がある。
また、別の目撃談では、石段を上る途中、横から女の霊が飛び出し、耳をつんざくような絶叫を上げながら参拝者に向かってくるという。
この絶叫は、人の声とは思えないほどの異音であり、叫び声と同時に身体が強く引かれるような感覚を覚えたと語られている。
さらには、真夜中に鳥居の下を通り抜けた瞬間、背後から息遣いが聞こえ、振り向くと誰もいなかったという報告もある。
闇に沈む山中で、鳥居の間にぼんやりと黒い影が立ち尽くしていたという証言もあるが、それが人であったのか、霊であったのかは判別できなかったという。
日中でさえも、長い石段の途中で振り返ると誰かが立っていたような錯覚を覚える者も多く、訪れる者の多くが不気味な違和感を口にしている。
高津神社の心霊体験談
ある夜、軽い気持ちで肝試しに訪れたという若者グループがいた。
彼らは懐中電灯を片手に、鳥居をいくつもくぐりながら石段を登っていたという。
その中の一人が、突然「誰かがついてきてる」と口にした。
振り返っても、仲間しかいない。だが、彼は「ずっと、背中のすぐ後ろに女がいる」と言い張った。
その直後、石段の横から白い影が飛び出し、彼に覆いかぶさるように迫ってきた。
彼は叫び声を上げて逃げ出し、足を踏み外して転げ落ちたという。
幸い大きな怪我はなかったが、以来その場所に近づくことすら拒むようになったという。
彼の背中には、なぜか人の指のような形をした青アザがいくつも残っていた。
高津神社の心霊考察
高津神社にまつわる心霊現象は、単なる怪談の域を超えて、場所そのものに染みついた「何か」を感じさせるものである。
この神社が位置する山には、元寇の際に岩門城という砦が築かれていた。
戦の犠牲者たちの無念がこの地に染み込み、それが現在もなお、目に見えぬ形で現れているのかもしれない。
また、稲荷信仰においては、霊的存在である狐や神霊との境界が曖昧であり、それらが時に人の姿を借りて現れるという説もある。
首のない和服の女が現れるという現象は、古くから伝わる因縁や信仰との関わりを感じさせる。
神社という聖域にありながら、そこには畏怖すべき霊的エネルギーが漂っている。
特に夜間に足を踏み入れることは、ただならぬ領域に触れることを意味しているのかもしれない。
いずれにせよ、高津神社にまつわる心霊話は、単なる都市伝説にとどまらず、そこに根ざす「歴史」と「祈り」、そして「恐怖」が織りなす現象なのである。
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