志免町に残る巨大な廃墟、志免鉱業所竪坑櫓には、古くから数多くの心霊のウワサが囁かれてきた。事故死、自殺、多発する怪異――かつて炭鉱として栄えたこの地に、なぜ霊が彷徨うのか。今回は、志免鉱業所竪坑櫓(志免炭鉱)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
志免鉱業所竪坑櫓(志免炭鉱)とは?

福岡県糟屋郡志免町にそびえ立つ、異様な形状の廃墟――それが志免鉱業所竪坑櫓である。
昭和18年(1943)に建設されたこのコンクリート製の巨大建造物は、かつて軍艦の燃料として石炭を掘り出していた志免鉱業所の中枢施設であった。
高さ47.65m、地下深く430mに及ぶ竪坑を備え、石炭や作業員を昇降させるための、いわば“巨大なエレベーター塔”として機能していた。
戦後は日本国有鉄道の所有となり、蒸気機関車用の燃料として採炭が続けられたが、石油燃料の台頭により昭和39年(1964)に閉山。
その後、放置された櫓は次第に“呪われた塔”として語られるようになり、現在では国の重要文化財でありながら、心霊スポットとして名を馳せる異質な存在となっている。
志免鉱業所竪坑櫓(志免炭鉱)の心霊現象
志免鉱業所竪坑櫓(志免炭鉱)の心霊現象は、
- 男性の霊が出没する
- 幽霊が櫓から何度も飛び降りる
- 意識が朦朧となり、自ら命を絶ってしまう者がいる
- 夜になると謎の声や足音が響く
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず語らねばならないのは、昭和13年(1938)に発生した第七坑のガス爆発事故である。
この事故により、実に50名の作業員が一瞬にして命を奪われた。
坑内に閉じ込められ、逃げ場もなく、炎と爆風に包まれていった彼らの怨念が今も櫓に染みついていると言われている。
また、塔の異様な高さが災いしてか、近年まで飛び降り自殺が後を絶たなかった。
奇妙なことに、自殺者たちはその直前、目の焦点を失い、まるで何かに引き寄せられるようにふらふらと櫓へと登っていくのだという。
「見えない誰かに呼ばれた」と語っていた遺書が遺されたこともあるという。
まるで、死者の霊が生者を“道連れ”にしているかのようである。
そして、櫓の周囲では夜な夜な人の話し声や足音が聞こえるという証言も後を絶たない。
人気のない場所で、しかも立ち入り禁止のフェンスの向こう側から音がするのである。
誰もいないはずの場所から、誰かがこちらを見つめている気配。
時には、飛び降りる幽霊の姿を“何度も”目撃したという報告もある。
志免鉱業所竪坑櫓(志免炭鉱)の心霊体験談
ある地元住民の証言によれば、夏の夜に友人と心霊スポット巡りの一環として志免鉱業所竪坑櫓を訪れた際、櫓の上から「誰かが落ちたような音」がしたという。
慌てて駆け寄るも、人影はどこにも見えなかった。
だがその直後、誰かが背後からささやいた。「おいでよ」と。
また別の体験者は、フェンス越しに櫓を眺めていたところ、鉄筋の隙間から“作業着姿の男”がじっとこちらを見ていたという。
目が合ったと感じた瞬間、その男はスーッと消えていったそうだ。
志免鉱業所竪坑櫓(志免炭鉱)の心霊考察
志免鉱業所竪坑櫓が心霊スポットと化した背景には、単なる事故死や自殺の多さだけでなく、土地や構造物そのものが持つ“異質さ”が影響していると考えられる。
戦争、労働、死という過酷な現実が交錯したこの場所には、明らかに“人ならざる気配”が漂っている。
特筆すべきは、「何かに導かれるように命を絶つ者が多い」という点である。
これは単なる心霊現象ではなく、ある種の“精神干渉”とも受け取れる。
人の意識に介入するほどの強烈な残留思念が、この場所にはこびりついているのかもしれない。
文化財という表向きの顔の裏に、今なお蠢く影の存在。
それが志免鉱業所竪坑櫓なのである。
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