福岡市南区向野、西鉄大橋駅近くにひっそりと佇む「岩屋敷」。建設途中で放棄された異様な廃墟には、男性の霊や謎の黒電話など、数々の怪奇なウワサが絶えない。今回は、岩屋敷にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
岩屋敷とは?

岩屋敷とは、福岡県福岡市南区向野、西鉄大橋駅の近くに存在する、コンクリート造りの二階建て廃墟である。
その建物の前や内部には無数の岩が敷き詰められており、異様な光景から「岩屋敷」と通称されている。
本来は店舗やレストランなどの商業施設として建設されていたと思われるが、工事は途中で突如中断され、以後放棄されたままとなっている。
一説には1975年頃にはすでに存在していたとされ、実に40年以上もの時を廃墟として耐え続けている。
建物は不完全なまま風雨にさらされ、トタン屋根の下に広がる通路、鉄骨が空に向かって突き出したまま錆び付く屋根、そして2階部分はコンクリートのみがむき出しという、まるで時間が止まったかのような空間である。
岩屋敷の心霊現象
岩屋敷の心霊現象は、
- 男性の霊が目撃される
- 正体不明の黒電話が突然鳴る
- 黒電話の受話器を取ると呪われると噂される
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、この廃墟で最も多く語られるのが「男性の霊」の目撃情報である。
建物の内部や階段、時には外にまで、ぼんやりとした男性の姿が目撃されるという。
表情は見えず、ただ静かに佇んでいたり、時に視線を感じる程度であるが、恐怖を感じて逃げ出したという証言もある。
さらに、この岩屋敷の内部には「呪いの黒電話」と呼ばれる古びた黒電話が存在している。
すでに電源は入っておらず、電話線もつながっていないはずであるにもかかわらず、「ジリリーン……」というベル音が突如として響き渡るのである。
恐ろしいのは、その電話のベルが鳴った際、好奇心や恐怖心から受話器を手にしてしまう者がいるという点だ。
その瞬間から、体調不良や悪夢、原因不明の事故に見舞われるなどの不可解な現象が立て続けに起こるとされている。
誰が、何のためにその電話を残したのか。なぜ鳴るのか。
それは一切わかっていない。
岩屋敷の心霊体験談
ある若者のグループが深夜に肝試しとして岩屋敷を訪れた際のことである。
建物に入った直後、誰も操作していないはずの黒電話が突如鳴り響いたという。
一人の男性が「録音か何かだろう」と笑いながら受話器を取ったところ、電話口からは何も聞こえず、ただ「ゴォ……ゴォ……」という風のような低い音だけが流れていた。
その後、その男性は原因不明の高熱と幻覚に悩まされ、数日後には交通事故に遭ってしまったという。
グループの中には、「電話の音はあれきり聞こえなくなった」と語る者もいたが、全員が二度と近づくことはなかったという。
岩屋敷の心霊考察
岩屋敷にまつわる心霊現象の数々は、ただの都市伝説として片づけるにはあまりにリアルである。
未完成のまま放棄された建物、敷き詰められた岩、そして意味不明に残された黒電話。どれもが「何かあった」としか思えない不気味さを放っている。
特に男性の霊の存在については、「この建物に関わった人物の怨念ではないか」という推測が根強い。
工事中の事故、あるいは資金繰りの問題から関係者が命を絶ったという噂もあるが、真相は明らかにされていない。
また、黒電話の存在は、この場所が時間と記憶に取り残されたような印象を強めている。
現代において機能しないはずの黒電話が鳴るという現象は、「過去からの呼び出し」なのかもしれない。
この岩屋敷は、確かに何かを「訴えている」。
だが、その声を聞こうとする者にだけ、深い闇が忍び寄るのかもしれない。
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