かつて福岡県と佐賀県を結ぶ三瀬峠に存在した「チロリン村（跡地）」には、今もなお語り継がれる数々の怪異と心霊のウワサがあるという。廃墟となった元レストラン跡には女性の霊が現れ、地下には忌まわしい噂が残されていた…。今回は、チロリン村（跡地）にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
チロリン村（跡地）とは？
チロリン村とは、福岡県と佐賀県をつなぐ国道263号線・三瀬峠の旧道沿いにかつて存在した、レストラン兼ドライブインの施設である。
1975年から1980年頃に開業し、1991年頃に閉業。その後は廃墟と化し、地元では「最恐の心霊スポット」として有名になった。
廃墟は2001年に完全解体されたが、その後もなお“跡地”として語り継がれている。
この施設には、地下にオーブンがあったことや、建物の構造から「元はホテルだったのではないか」という噂も存在した。
また、「営業中に女性客が2階客室で刺殺された」との話や、「暴走族が男性を地下室でリンチし灯油で焼き殺した」といった、凄惨な噂も絶えなかった。
チロリン村（跡地）の心霊現象
チロリン村（跡地）の心霊現象は、
- 赤い服を着た女性の霊が峠道に現れる
- 地下室跡からすすけた人影が現れる
- 焼却炉の付近で焦げた臭いと共に呻き声が聞こえる
- 解体後も跡地に近づくと金縛りに遭う
である。以下、これらの怪異について記述する。
赤い服を着た女性の霊
解体前から、そして解体後の今もなお、チロリン村跡近くのカーブにふいに立っている女の霊が目撃される。
赤い服をまとい、無表情で車の進行方向を見つめているその女は、峠を走る者たちの視界に突如現れ、急ブレーキやスリップ事故を誘発してきたという。
その姿を見た者は、決まって「気配が異様に重かった」と語る。
地下室跡の人影
建物の構造上、斜面に建てられていたため「地下室」に見えた1階部分の奥には、薄暗くひんやりとした空間が存在していた。
そこに続く階段には焼け跡のような黒いシミがあり、夜中に訪れた者の中には、階段の先からすすけた人影が這い上がってくるのを見たという者もいる。
焼却炉と呻き声
施設の裏手にあった焼却炉からは、時折「ボウ…ボウ…」という火がくすぶるような音と共に、苦しげな呻き声が聞こえるという証言が複数ある。
建物の一部に“オーブン”があったという噂もあり、「ここで誰かが焼かれたのではないか」とささやかれている。
跡地での金縛り現象
解体され、今は更地となったはずの場所であっても、夜に近づくと強烈な寒気と共に身体の自由が効かなくなるという体験談が後を絶たない。
周囲には人の気配がなく、まるで時間が止まったような異空間に取り込まれるのだという。
中にはその場で数時間動けず、気づいたら朝を迎えていたという者もいる。
チロリン村（跡地）の心霊体験談
とある夏の夜、心霊スポット巡りを趣味とする若者たちが、チロリン村を訪れた。
当時まだ建物は朽ち果てながらも姿を残しており、部屋には布団や椅子がそのままの状態で置かれていたという。
彼らは興味本位で各部屋を探索し、2階の客室に入った瞬間、全員が言葉を失った。
部屋の中央に、まるで誰かが座っていたかのように、布団の上がへこんでいたのである。
誰もそこにはいなかった。
だが、その直後、窓の外を「赤い服を着た女」が通り過ぎた。
音もなく、ただゆっくりと。
震えながら外へ出ると、女はすでにいなかった。
しかし、車に戻ろうとした瞬間、焼却炉の方角から「助けて…」という女の声が聞こえた。
全員が凍りつき、声のする方を見ると、黒い影がゆっくりと炉の奥へ消えていった。
彼らはその夜、言葉もなく車を走らせ、もう二度とその場所を訪れなかったという。
チロリン村（跡地）の心霊考察
チロリン村跡地に残る数々の現象には、いくつかの共通点が見られる。
まず第一に、「火」に関する痕跡と噂が非常に多い点である。
地下室の焼け跡、焼却炉、オーブン…まるで何かを焼くことがこの場所の中心テーマであったかのような印象を受ける。
また、目撃される女性の霊の存在。これはかつて刺殺された女性の話、あるいは焼却炉で焼かれたという未確認の話が混ざり合って生まれた集合的な記憶なのかもしれない。
しかし解体後もなお目撃されている点を考えると、単なる噂では説明がつかない。
さらに、跡地で起きる金縛りや異空間感覚は、この場所そのものが“霊道”に接している可能性を示唆している。
生と死の境界があいまいになる“接続点”が、チロリン村の跡地に残されているのかもしれない。
物理的には消えたはずの廃墟。しかし霊的な存在は、今もそこにとどまり、道ゆく者を見つめ続けている。
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