佐賀県鳥栖市にある田代公園には、花見や遊具を楽しむ人々の笑顔の裏で、数々の心霊のウワサがささやかれている。林で繰り返された自殺、忠霊塔に眠る英霊、そして夜な夜な現れる霊の姿――。今回は、田代公園にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
田代公園とは?

田代公園は、佐賀県鳥栖市柚比町に位置する地区公園である。
園内にはソメイヨシノやヤマザクラ、カワヅザクラなどが咲き誇り、春には多くの花見客でにぎわいを見せる。
ロープウェイや滑り台、コンビネーション遊具といった設備も整い、ピクニックや家族連れに人気のレジャースポットとして親しまれている。
令和2年12月28日には、ロープウェイや滑り台などの遊具群が新たに整備され、より多くの子供たちで賑わう公園へと姿を変えた。
しかし、この明るい顔とは裏腹に、田代公園には決して語られることのない、もうひとつの顔が存在している。
それは、幾度となく繰り返されてきた「死」と「祀り」の記憶である。
田代公園の心霊現象
田代公園の心霊現象は、
- 男性の霊が林の中に現れる
- 首を吊った自殺者の霊が目撃される
- 忠霊塔付近で黒い影がうごめく
- 夜中、遊具から子どもの笑い声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
かつて公園内の林では、幾人もの命が絶たれたとされる。
いずれも首を吊る形であり、その不自然な最期は土地の記憶に深く刻まれている。
春の陽気な光の中でも、その林に足を踏み入れた者は、突如として肌寒さを感じるという。
それは、生者を見つめる者の視線によるものかもしれない。
この林で最も多く目撃されているのが、「男性の霊」である。
無表情のまま、枝の間に浮かぶその姿は、目をそらしても消えないという。
立ち去ろうとしても足がすくみ、声も出せず、ただその場で凍りつくしかないという証言が後を絶たない。
また、園内に建てられた忠霊塔も、この地に重苦しい気配を残している。
幕末の尊王攘夷の混乱の中で命を落とした武士たちの霊が祀られているとされ、塔の前に立つと風もないのに衣擦れの音が聞こえる、背後に誰かの気配を感じるといった不可解な現象が相次いでいる。
夜になると、誰もいないはずの遊具から子どもの笑い声が聞こえるという噂もある。
新しく設置されたばかりのロープウェイが、無人のままギシギシと揺れていたという証言も存在する。
田代公園の心霊体験談
ある男性が深夜、忠霊塔付近を散歩していた際の話である。
静まり返った公園で風もなく、ただ遠くで虫の鳴く声だけが響いていたという。
だが、忠霊塔の前に差しかかった瞬間、何かが背後をすり抜けたような音がした。振り返ると、誰もいない。
不安に駆られた彼が早足で立ち去ろうとした時、背後から誰かが小さく「返せ」と囁くのを聞いたという。
心臓が凍りつくようなその声に、彼はその場で立ちすくみ、気がつくと翌朝、塔の前で倒れていたという。
田代公園の心霊考察
田代公園が心霊スポットとして語り継がれる背景には、二つの「死」が存在している。
一つは、首を吊った者たちの強い未練と苦しみ。もう一つは、忠霊塔に祀られた武士たちの誇り高き魂である。
この二つの存在が交差することで、ただの「公園」では済まされない、異界の入口となってしまったのではないかと考えられる。
特に自殺の多発する土地には、過去の死が「呼び水」となって、さらなる死を引き寄せるという噂がある。
田代公園の林で感じる寒気、忠霊塔前の囁き声、無人の遊具が発する不可解な音……これらはすべて、かつてこの地に深く根づいた「想い」が形を成し、生者に何かを訴えかけている証左である。
田代公園は、ただの遊び場ではない。軽い気持ちで足を踏み入れれば、目に見えない何かが、その存在に気づくかもしれない。
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