人里離れた山中にひっそりと佇む廃ホテル、大山グランドホテル。営業当時の賑わいはすでになく、今では誰も近づかぬ心霊スポットとして知られている。中でも有名なのが、赤い傘を手にした少女の幽霊にまつわる恐ろしいウワサである――少女の姿を見た者は、やがて命を落とすという。今回は、大山グランドホテルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
大山グランドホテルとは?

大山グランドホテル(だいせんグランドホテル)は、鳥取県西伯郡伯耆町、大山ますみず高原天空リフトの山麓近傍に存在する廃ホテルである。
かつては4階建ての中規模リゾート施設として営業しており、開業は1967年5月、閉鎖は1972年7月と、営業期間は短かった。
1977年には鳥取県から「米飯提供業者」としての登録がなされ、1979年には企業研修にも使用されていた形跡がある。
1983年にはテレビ朝日系列『土曜ワイド劇場』のロケ地としても利用されており、当時はまだ人の出入りがあったようだ。
しかし、時は流れ、2000年代に入ると建物は徐々に朽ち始め、螺旋階段に錆が浮かび、蔦が巻きついていた。
2015年には日本年金機構の「持ち主不明事業所一覧」にも掲載。
現在では草木が建物を飲み込み、3階に届くほどの樹木が生い茂り、ガラスも一部損壊している。
この廃墟となったホテルには、ある恐るべき心霊現象が語り継がれている。
大山グランドホテルの心霊現象
大山グランドホテルの心霊現象は、
- 赤い傘を持った少女の幽霊が現れる
- その少女の霊を見た者は、命を落とすというウワサがある
である。以下、これらの怪異について記述する。
もっとも有名な心霊現象は、赤い傘を持つ少女の幽霊である。
この少女の霊は、深夜0時を回った頃に現れると言われている。
廃墟の奥から足音もなく姿を現し、静かに螺旋階段の下に立ち尽くしているという。
少女はおかっぱ頭に古びたワンピース姿で、手には真っ赤な傘を握りしめている。
傘は開かれることはなく、まるでこの世のものではない何かを封じ込めているかのように閉じられたままである。
この少女の幽霊を目撃した者の中には、数日後に不審な事故死や突然の病に見舞われたという報告もある。
地元では「少女と目が合えば、あの世へ引きずり込まれる」という言い伝えまで存在しており、肝試しに訪れた若者たちの間でも、「見たら終わり」と語られている。
また、少女が現れる前には、ホテル内で突然気温が下がり、周囲が異様に静まり返るという。
まるで時間そのものが止まったかのような感覚に襲われた直後、階段の下にぼんやりと赤が浮かび上がるのだという。
大山グランドホテルの心霊体験談
実際にこの場所を訪れた者の中には、少女の霊を目撃したという証言が複数存在する。
ある若者グループが、深夜に廃墟を訪れた際のこと。彼らは懐中電灯を手に建物の中を進んでいた。
何もないはずの4階の廊下に、誰かの濡れた足跡が続いていたという。
足跡は彼らを導くように階下へ続いており、最後に辿り着いたのは――あの、錆びた螺旋階段の下だった。
そこに立っていたのは、赤い傘を持った少女。彼らが悲鳴を上げて逃げ出した後、メンバーの一人が高熱を出して入院。意識を取り戻すことなく、そのまま亡くなったという。
彼の遺品からは、螺旋階段を下から見上げた写真が発見された。
そこには確かに、赤い傘を手に持った少女の姿が、ぼんやりと写っていた。
大山グランドホテルの心霊考察
なぜこの場所に、赤い傘の少女の霊が現れるのか。その正体や背景については明確な記録は残っていない。
しかし、かつてホテルで何か凄惨な出来事があった可能性は否定できない。
営業年数が短く、記録もまばらであるこの施設には、闇に葬られた歴史が潜んでいる可能性がある。
赤い傘は、血や死を象徴するアイテムとして度々心霊現象に登場する。
それを手にして現れるということは、彼女がこの世に未練を残し、そして何らかの苦しみを抱えて亡くなった存在であることを示唆している。
あるいは、赤い傘の少女はこのホテルに囚われた“念”そのものであり、廃墟と化した今でもその場に染みついた記憶が、人々の恐怖を呼び寄せているのかもしれない。
大山グランドホテル――それは、ただの廃墟ではない。
“何か”が、いまなお、そこで誰かを待っている。
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