岡山県津山市にかつて存在した「津山プラザホテル」は、廃業後に心霊スポットとして語られるようになった廃墟ホテルである。今回は、津山プラザホテルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
津山プラザホテルとは？
津山プラザホテルとは、岡山県津山市の高台に位置していた、地上6階・地下1階建ての大型ホテルである。
1974年に開業し、館内には50室の客室のほか、結婚式場、レストラン、バー、ラウンジ、宴会場を備えていた。
桜の名所・鶴山公園やスキー場、ゴルフ場に近く、観光客の利用も多かったとされる。
運営は美作観光開発株式会社。
2000年代中頃に廃業したと推定され、2015年の公売資料では「廃業から10年以上」と記されているため、2002〜2005年の間に閉館した可能性が高い。
営業末期の料金は、シングルルームが5,500円、ツインルームが2人で10,000円程度であった。
閉館以降は廃墟と化し、風雨の浸食により苔むした床や破れた窓、焼け焦げた跡が見られるようになった。
とりわけ最上階のレストランは鳩の巣窟と化し、不気味な静寂と朽ちた豪華さを併せ持つ異様な空間となっている。
その光景が摩耶観光ホテルの「額縁の部屋」を彷彿とさせることから、「岡山のマヤカン」とも呼ばれる。
裏手に広がる墓地の存在と相まって、現在では県内有数の心霊スポットとして名を知られるようになった。
津山プラザホテルの心霊現象
津山プラザホテルの心霊現象は、
- 赤い服を着た女の霊が現れる
- すすり泣くような声が聞こえる
- 不気味な音が突如響く
- 誰もいない部屋から人影が見える
である。以下、これらの怪異について記述する。
赤い女の霊が現れるという報告は後を絶たない。
ある探索者は、非常階段で真っ赤な服をまとい、おかっぱ頭の白い肌の女と目が合ったという。
彼が仲間に訴えても信じてもらえず、再び視線を向けたとき、その女は首をかしげながら、笑っているような、泣いているような表情でじっとこちらを見ていたという。
女の目は異常に黒く、どこまでも深く、底なしのようだったという。
また別のグループは、廃墟内部を進んでいる最中に、明らかに誰もいない階段の奥から「ピリンリリン」とも「キリンリリン」とも形容しがたい奇妙な音を耳にした。
その音は一瞬のものではなく、繰り返し、耳の奥にまとわりつくように響いたという。
逃げ出した後に確認したところ、全員がその音を聞いていた。
そして、最上階の右から二番目の部屋では、「おばあちゃんがこちらを見ていた」との報告もある。
だが、その階に生きた人間がいたはずはない。
部屋の扉は朽ち、足を踏み入れると床が崩れる危険があるほど荒れ果てていたという。
にもかかわらず、その「おばあちゃん」はまるで宿泊者のように佇み、ただ黙って探索者を見つめていたというのだ。
津山プラザホテルの心霊体験談
体験談①：赤い女の霊
6人の若者が探索のためホテルを訪れた。
非常階段に差し掛かったとき、1人の男性が真紅の服を着た女の霊を目撃した。
おかっぱ頭に白い肌、何より印象に残ったのはその“目”であった。
最初は仲間に話しても信じてもらえなかったが、次に見たとき、女の霊は首をかしげながら彼を見つめ返していたという。
その後、屋上までたどり着いたが何も起きなかった。
しかし帰路、最上階の一室で老婆がこちらを見ていたのを見て、全員が戦慄し逃げ帰った。
体験談②：奇怪な音の正体
別の日、小学生8人のグループが探索を行った。
屋上からの景色は美しく、一時は安堵したという。
しかし帰り道、階段を下りようとした瞬間、反対側の部屋から「ピリンリリン」「キリンリリン」としか形容しようのない音が聞こえてきた。
恐怖のあまり走って逃げたが、あとから確認すると、全員がその音を聞いていたという。
人間の発する音とは思えず、何か“別の存在”がいたことは間違いないと、今でも語っている。
津山プラザホテルの心霊考察
津山プラザホテルには、いわゆる“事件”と呼べるような過去の記録は残っていない。
だが、その背後に広がる墓地の存在と、自然崩壊と人的破壊によって変容した内部の異様な景観が、霊的現象を引き寄せている可能性がある。
赤い女の霊の目撃例や、不可解な音の発生、視線を感じる部屋の存在など、いずれも典型的な心霊現象であると同時に、同一の「何か」が異なる形で接触しているとも捉えられる。
特に“視線”という共通点が顕著であり、ホテルという空間に“残された存在”が訪問者に気づいてほしいという念を送っているのかもしれない。
津山プラザホテルは、かつての栄華と荒廃が交錯する場所であり、そこに集う霊たちは、何かを伝えようとし続けているのかもしれない。
だが、それを理解しようとしたとき、こちらの世界から“向こう側”に引き込まれてしまう危険性も否定できない。訪れる者は、その覚悟を持つべきである。
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