岡山県美咲町で毎年8月14日の深夜に行われる「二上山護法祭」は、真言密教と修験道が融合した神秘的な奇祭である。護法善神が憑依した者が深夜の境内を走り回り、観客に災厄が降りかかるとされるこの儀式には、古くから命に関わる恐ろしいウワサが絶えない。今回は、二上山護法祭にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
二上山護法祭とは?

二上山護法祭(ふたかみさん ごほうさい)は、岡山県美咲町にある高野山真言宗準別格本山・両山寺(りょうさんじ)で、毎年8月14日の深夜に執り行われる神秘的な祭りである。
この祭りは真言密教と修験道が融合した全国でも稀有な「奇祭」とされており、昭和52年に県の重要無形民俗文化財に指定されている。
祭りの主役は「護法実(ごほうざね)」、通称「ゴーサマ」と呼ばれる人物である。
ゴーサマは、祭りの一週間前から寺にこもり、清浄な身と心を保ちながら潔斎する。
そして当日深夜、修験者による祈祷によって神霊「護法善神」がその身に憑依する。
神霊が宿ったゴーサマは、まるで神の化身のごとく、人間の常識を超越した行動を見せるのである。
二上山護法祭の心霊現象
二上山護法祭の心霊現象は、
- 動物の霊が現れる
- ゴーサマに捕まると3年以内に死ぬ
- フラッシュ撮影で呪われる
- 不浄の者を見分けて襲う神憑り
である。以下、これらの怪異について記述する。
動物の霊が現れる
祭りの夜、境内に入った者が「犬の鳴き声を聞いた」と語ることが多い。
しかしその声の主となる動物は見当たらず、ただ冷たい視線のような気配だけが残るという。
特に祭り前の静寂な夜、黒い猫が突然現れて消えるという目撃もあり、それが護法善神の使いである「烏(からす)」の化身ではないかという噂も絶えない。
ゴーサマに捕まると3年以内に死ぬ
神が憑依したゴーサマは、信じられない速さで境内を走り回る。夜の闇の中、突如背後から迫るその気配は、もはや人ではない。
心身不浄の者が観覧していると、ゴーサマはそれを敏感に察知し、容赦なく接近する。
捕まれば、3年以内に「死」が訪れるというのだ。ネットではこの光景を「リアル鬼ごっこ」と恐れられており、地元の者ですら距離を置くほどである。
フラッシュ撮影で呪われる
祭りを撮影しようとカメラを向けた者が、うっかりフラッシュを焚いてしまう。
これはゴーサマに対する重大な侮辱であり、儀式の妨害と見なされる。
実際に、過去にフラッシュを使用した者がその年のうちに事故死したという記録もある。
明るく照らされたその瞬間、ゴーサマの目が獣のように光り、まっすぐ撮影者を睨んでいたという証言が残っている。
不浄の者を見分けて襲う神憑り
伝統的には肉食をした者、女性であれば月の穢れ(生理中)の者が「不浄」とされていた。
しかし現代では、失礼な振る舞いや進行の妨げなど「祭りを軽んじる者」すべてが対象となる。
中には、悪ふざけでゴーサマの前に立ちはだかった若者が、祭りの翌年に事故で亡くなったという話もある。
これは偶然ではなく、護法善神の「選別」によるものと恐れられている。
二上山護法祭の心霊体験談
ある年の護法祭、県外から来た若者グループの一人が、ゴーサマの様子をスマートフォンで撮影していた。
画面越しに見るゴーサマは、突然その場から消え、次の瞬間、彼のすぐ目の前に現れたという。
その若者は絶叫してその場から逃げたが、数日後に急性心不全で亡くなった。
また、別の女性は参拝中に突然強烈な耳鳴りと吐き気に襲われ、その場で倒れた。
のちに彼女は、生理中だったことを思い出し、寺の者に相談したところ、「それは神罰だ。よく生きて戻った」と言われたという。
二上山護法祭の心霊考察
二上山護法祭は、表面的には五穀豊穣や天下泰平を祈る伝統行事であるが、その根幹には明らかにシャーマニズム的な「神憑り」の要素が色濃く存在する。
護法善神は、単なる象徴ではなく、実在する意志としてゴーサマに宿る。その神が選ぶ「犠牲」こそが、祭りにおける最大のタブーである。
動物霊の出現も、霊的領域の扉が開かれるこの夜ならではの現象であると考えられる。
神と人の境界が曖昧になる瞬間、霊的な存在たちもまた、この世に干渉してくるのであろう。
護法祭を軽んじる者、穢れたままこの神聖な場に足を踏み入れる者には、護法善神の「審判」が下る。
奇祭とはいえ、その裏にあるのは笑えぬ恐怖であり、命を賭けた儀式であるのかもしれない。
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