つやま自然のふしぎ館には、創設者自らの臓器標本をはじめ、数多の剥製や標本が並ぶ異様な空間が広がっている。そこでは、高齢男性や女性の霊の目撃談、剥製が動く怪異、無人の館内に響く足音など、数々の不可解な心霊現象が囁かれている。今回は、つやま自然のふしぎ館にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
つやま自然のふしぎ館とは？
つやま自然のふしぎ館は、1963年（昭和38年）11月に開館した、動物の剥製や鉱物、化石などを所狭しと展示する自然史総合博物館である。
建物は元々、旧「津山基督教図書館高等学校夜間部」の校舎を利用しており、その由緒には深い歴史が刻まれている。
設立者は森本慶三氏。
津山屈指の呉服店「錦屋」の跡継ぎであったが、自らに商才がないことを悟ると店をたたみ、残った財産を投じて津山基督教図書館や高等学校、そしてこの自然のふしぎ館を約30年の歳月をかけて築き上げた。
個人が私財を投じ自然史博物館を作るという前例のない試みであった。
館内には800種を超える動物の剥製が並び、ワシントン条約制定以前に収集された希少種も多い。
鉱物や化石は既に閉山した鉱山から収集したものが多く、現在では二度と手に入らないものばかりである。
そして最大の特徴は、創設者・森本慶三氏自らが遺言により「法の許す限り、自らの臓器を生理学標本として寄贈せよ」と命じ、その心臓や脳、肺、肝臓、腎臓がホルマリン漬けとなって今も館内に展示されている点にある。
つやま自然のふしぎ館の心霊現象
つやま自然のふしぎ館の心霊現象は、
- 高齢男性の霊や女性の霊が館内を彷徨う姿が目撃される
- 館内の剥製が不自然に動く
- 無人のはずの館内で誰かの足音や物音が響く
- 男性の霊が訪問者の背後に立つ
である。以下、これらの怪異について記述する。
これら心霊現象には、森本慶三氏の存在が色濃く影を落としている。
館内の一角には、解剖後ホルマリン漬けとなった慶三氏自身の「脳」「心臓」「肺」「肝臓」「腎臓」が瓶詰めで静かに並んでいる。
かつては20点ほどの臓器があったというが、経年と共に展示台が壊れ、数も減少した。
それでも半世紀以上の歳月を経てなお、その形を保ち続けているのは異様である。
肺が真っ黒に変色していたのが印象的だが、慶三氏は非喫煙者であった。
つまり、当時の空気汚染がどれほど深刻であったかを物語っているともいえる。
しかし、それ以上に、自身の臓器を展示させるという異様な執念の気配を感じずにはいられない。
また、胎児や奇形のホルマリン標本、分娩中の白黒写真、一つ目のアナグマなど、現在は撤去された展示物もかつては並んでいた。
今は見られぬそれらの標本が、夜ごと暗闇に蘇っているのではないかという噂もある。
夜の館内では、トラやヒョウの剥製がまるで生きているかのように牙を剥いてこちらを睨みつけてくる。
通路の奥からは誰もいないはずの足音が迫り、背後に気配を感じ振り返ってもそこには誰もいない。
剥製たちの目だけが鈍く光ってこちらを見つめているという。
つやま自然のふしぎ館の心霊体験談
館内で高齢男性の霊がふいに現れ、通路の奥へと消えていくのを見たという体験談が複数寄せられている。
中にはその姿が森本慶三氏その人に酷似していたと語る者もいる。
また、展示室の奥で物音がしたため駆け寄ると、誰もいない空間で剥製の位置がわずかに変わっていたという証言もある。
ある来館者は、重苦しい視線を感じて振り向くと、剥製のはずのゴリラがわずかに首を動かしこちらを見つめていたと語った。
慌てて係員に訴えたが、「そんなはずはない」と一蹴されたという。
つやま自然のふしぎ館の心霊考察
この館にまつわる怪異の根底には、森本慶三氏の尋常ならざる執念があるのではないか。
自らの臓器を展示させるという発想自体、常人には思い至らぬことである。
自らの死後もなお、人々に学びを与えるため、標本となってこの世に留まることを選んだ彼の強烈な意思が、館内に漂う不可解な現象を引き寄せているのかもしれない。
夜のふしぎ館に一歩足を踏み入れた瞬間から、そこは生者の世界とは隔絶された異界である。
無数の剥製と標本に囲まれながら歩くうち、どこからともなく視線を感じるのは、単に気のせいだろうか。
それとも、臓器としてこの世に残された慶三氏自身が、今も来館者を見守り続けているのだろうか。
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