岡山県総社市にかつて存在したラブホテル「ホテル伯備」。廃業後、荒れ果てた廃墟と化したこの場所には、管理人の不気味な気配や動物の霊、人影の目撃談など数多の怪異が囁かれてきた。今回は、ホテル伯備にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ホテル伯備とは?

ホテル伯備は、岡山県総社市にかつて存在したラブホテルである。
伯備線の線路と高梁川に挟まれた細長い土地に建てられており、周囲からはやや孤立した立地であった。
開業は1970年前後と推測され、1階がガレージ、2階が客室という典型的なモーテル構造であった。
長く営業を続けていたが2000年頃に廃業し、その後は人が寄り付かない廃墟と化した。
奇妙なことに、廃墟の内部にはなぜか健康器具などが散乱したまま放置されていたという。
建物は朽ち果て、2015年10月に解体されて今は霊園となっている。
しかし、この土地には未だに得体の知れぬ恐怖がこびりついて離れないようである。
ホテル伯備の心霊現象
ホテル伯備の心霊現象は、
- 動物の霊が現れる
- 受付の奥にいた管理人の気配
- 夜間、窓からこちらをじっと見つめる人影
- 浮浪者では説明がつかない異様な声や物音
- いつまでも彷徨う地縛霊・浮遊霊の噂
である。以下、それらの怪異について記述する。
まず、この廃墟には動物の霊が現れるとされる。
猫や犬の影が視界の端をよぎることがあり、それがあまりに自然な動きで通り過ぎるため、初めは生きているものだと思ってしまう。
しかし、目で追いかけるとそこには何もいないことが多い。
まるでこの世に未練を残した動物たちが、ホテル伯備の廃墟をねぐらとして集まっていたかのようである。
受付の隣には管理人専用の入り口があり、その奥は管理人が生活していた住居に繋がっていたという。
夜中にここを訪れた探索者は、誰もいないはずの暗闇の奥から「こちらを見つめる気配」を感じたと語る。
まるでまだそこに管理人が棲みついており、今も訪問者を監視しているかのようである。
また、建物の窓からは人影がこちらを覗いていることがあったという。
浮浪者が寝床として利用していた事実もあるが、声をかけると影は音もなくすっと消える。
荒れ果てた部屋の奥へ続く足音はなく、ただ気配だけが残るのである。
加えて、廃墟内では説明のつかないうめき声や、複数の人間が低く話し合うような声が響いたと証言する者もいる。
廃墟であること以上に、異質で人ならざる気配が充満していたのである。
ホテル伯備が完全に解体された後も、この土地には多くの浮遊霊や地縛霊が集まってきているという。
跡地は墓地となり、形としては浄化されたはずなのに、夜になるとどこかから呻くような声が風に混じって響くと噂されている。
ホテル伯備の心霊体験談
実際にこの場所を訪れた人物の話によれば、夜の廃墟で突然目の前を横切る白い影を見た直後、背後から何かに肩を掴まれる感触を覚えたという。
慌てて振り返るもそこには誰もおらず、薄暗い廊下だけが静かに続いていた。
別の探索者は、管理人室の奥から覗くような視線を感じ、ライトを向けた瞬間に壁に染みついた黒ずんだ影が一瞬だけ人の形を成したのを見たと語る。
その場から一目散に逃げ出し振り返ると、廃墟の窓から誰かが見送るように手を振っていたという。
ホテル伯備の心霊考察
ホテル伯備に纏わる数々の怪異は、単なる廃墟特有の不気味さに留まらない。
廃業後もそこに人が暮らした痕跡や、野生動物、さらには浮浪者の存在が複雑に絡み合い、空間そのものが多くの「念」を吸い寄せる磁場となっていたのではないか。
また、受付奥の住居に暮らしていた管理人の強い執着心が、そのまま土地に染みついているとも考えられる。
彼が最後までホテルを守ろうとしていた感情が、今なお来訪者を監視し続けているのかもしれない。
ホテル伯備は解体され、今では静かな墓地となった。
しかし、死者を葬る場所となったことで、むしろより多くの魂が引き寄せられ、夜毎に声なき声を響かせている可能性すらあるのだ。
コメント