広島県呉市にひっそりと佇む黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)は、古びた坑門や壁に浮かぶ不気味な黒いシミ、そして工事中に亡くなった者を祀る慰霊碑など、陰鬱な歴史を色濃く残す場所である。今回は、黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)とは?
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黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)は、広島県呉市にひっそりと存在する廃隧道である。
国道375号線の旧道に位置し、1948(昭和23)年に竣工。全長は276メートルを誇る。
1993(平成5)年、近代的な現・二級峡トンネルが開通したことにより、その役目を終えた。
現在では、西側の坑門は完全に封鎖され、東側の坑門もフェンスで閉ざされている。
もっとも、2018年時点でそのフェンスは損壊しており、容易に内部へ足を踏み入れることが可能であった。
周囲の旧道は落ち葉や苔に覆われ荒廃し、車での侵入は不可能である。
徒歩であれば進入できるが、その先に待つのは人を寄せつけぬ不気味な闇のみである。
なお、付近には工事中に犠牲となった作業員を慰霊する黒瀬随道殉職者之墓が建てられており、その歴史的背景が陰鬱な空気を一層強めている。
2024年5月現在、西側坑門の前にはダム関連工事の事務所が建ち並び、坑門そのものは完全に視界から消えている。
しかし、その周辺に残る朽ち果てた標識や石碑が、この地の過去を無言のうちに物語っている。
黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)の心霊現象
黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)の心霊現象は、
- 男性の霊が突如として姿を現す
- トンネル内部で心霊写真が撮影される
- 付近に自殺者の霊が引き寄せられているという噂が絶えない
- 壁一面に黒く不気味なシミが浮かび上がる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、男性の霊が出現するという話は、このトンネル周辺で最も有名な怪談のひとつである。
人影が見えたかと思えば、冷たい風とともにその姿は霧散し、ただそこに残るのは底知れぬ恐怖だけだという。
また、この場所で写真を撮影すると、決まって不可解な光の玉や、はっきりと顔と思しき影が写り込むことがある。
それを後から確認した者は、得体の知れぬ気配に取り憑かれたかのように体調を崩すとも言われている。
さらに、すぐ近くには二級ダムが存在し、ここで自ら命を絶った者たちの霊が、黒瀬トンネルへと引き寄せられると噂されている。
その理由は定かではないが、水場は霊を呼ぶとも言われており、このダムが負のエネルギーの導線となっている可能性は否定できない。
そして決定的に不気味なのが、トンネル内部の壁一面に広がる黒いシミである。
雨水やカビの類いと説明する向きもあるが、それが人の顔や手の形に見えることもあり、薄暗い懐中電灯の光に浮かび上がったそれは、今もこの地に囚われた魂の断末魔のように感じられる。
黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)の心霊体験談
ある若者たちが肝試し半分にこのトンネルへ足を踏み入れた際の話である。
内部を進むうち、誰もいないはずの暗闇から突然、「帰れ…」という掠れた声が響いた。
驚いて振り返ると、一人がトンネルの入口側をじっと見つめたまま動かなくなっていた。
声をかけると、彼は蒼白な顔で「今…そこに…首のない男が立っていた」と震えながら答えたという。
それ以降、その場にいた全員が不可解な高熱や金縛りに襲われるようになったという話が残っている。
黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)の心霊考察
黒瀬トンネル(旧二級峡トンネル)は、その歴史的背景、周辺に点在する慰霊碑、そして人知れず命を絶った者たちが集うとされる因縁により、強力な負の磁場を形成している可能性が高い。
閉ざされた空間、薄暗い光、苔生した石壁に滲む黒いシミが、訪れる者の精神に深い暗示を与え、潜在的な恐怖心を現実の霊的体験へと引きずり出すのではないか。
人は理屈では割り切れない「何か」を確かに感じ取ることがある。
黒瀬トンネルにまつわる数多の怪異は、まさにその証左であると言えるだろう。
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