広島県三原市の山中にひっそりと佇む、今は使われなくなった火葬場「三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)」には、古くから不気味な噂が絶えない。真っ赤なワンピースを纏う女の霊や、電話ボックスに現れる得体の知れぬ影、そして耳元に迫るすすり泣き――数々の怪異が語り継がれている。今回は、三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)とは?
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三原の廃火葬場は、広島県三原市の山中に位置する、かつて人々の亡骸を煙と変えていた場所である。
恵下谷(えげだに)の火葬場とも呼ばれ、現在は使用されなくなり、ひっそりと朽ち果てつつある。
火葬場は県道25号線(三原東城線)沿いにあり、この道は峠道で事故が多発する場所としても知られている。
過去にはバスが谷底へ転落する事故もあったという。
また走り屋たちがこの道で命を散らした話も残っており、その怨念が火葬場へ引き寄せられたのではないかと囁かれている。
火葬場の建物は周囲を木々に覆われ、他に人工物はほとんど見当たらない。
その孤立した立地が、不気味さを一層際立たせているのである。
三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)の心霊現象
三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)の心霊現象は、
- 真っ赤なワンピースを着た女性の霊が現れる
- 火葬場横の電話ボックスに女性の霊が佇む
- 付近を走る車に、誰もいないのに後部座席から視線を感じる
- 夜中に火葬場付近を歩くと、誰かのすすり泣く声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名なのが、真っ赤なワンピースを着た女性の霊である。
夜道を火葬場の近くで車を走らせていると、突如として林の影から現れ、視界の隅でひらりと赤い布が揺れる。
慌てて振り返っても、そこには何もいない。ただ赤い残像のようなものが、脳裏にこびりついて離れないのだ。
この女性の霊と同一視されることもあるのが、火葬場の横にひっそりと立つ電話ボックスに現れる霊である。
夜、何気なく電話ボックスを覗くと、受話器を持たずに俯いた長髪の女が佇んでいる。
顔は髪で隠れて見えない。目が合った瞬間、確かにこちらを見ていたと感じるのだが、気づけば電話ボックスには誰もいない。
また、この火葬場周辺では走行中の車内で背後から強烈な視線を感じる話も多い。
誰もいないはずの後部座席をミラー越しに見ると、一瞬だけ誰かが座っているような気配が映る。
中には車を止めて後ろを確認したところ、車内がひどく冷え切っていたという証言もある。
さらには、夜更けに火葬場の前を歩いていると、木々の奥からか細いすすり泣きが聞こえてくることがある。
声はどんどん近づいてくるのに、周囲を見渡しても誰もいない。
泣き声はいつしか耳元でささやく声に変わり、寒気と共に足がすくんで動けなくなるのである。
三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)の心霊体験談
ある若者のグループが肝試しとしてこの廃火葬場を訪れた夜の話である。
火葬場の前に車を止め、携帯のライトを頼りに歩いていたところ、ふと道路脇の電話ボックスに目が留まった。
そこには誰もいないはずなのに、薄暗いガラス越しに白い顔がこちらをじっと見つめていたという。
慌ててライトを向けたが、そこには何もいなかった。
ただ、電話ボックスの中にだけ、しんと冷たい空気が漂っていたという。
さらに帰路、彼らの車は何度もエンジンが止まりかけ、窓の外には誰もいないのに赤い布のようなものが何度も視界をよぎったという。
家に着くころには、全員が口を閉ざし、二度とあの場所には行かないと誓ったそうだ。
三原の廃火葬場(恵下谷の火葬場)の心霊考察
火葬場という土地自体が、死者の魂を送り出した強い念を抱え込んでいるのは間違いない。
そこに加えて、事故死や不慮の死を遂げた者たちの怨嗟が集まり、この場所をさらに異質な空間へ変えているのではないだろうか。
真っ赤なワンピースの女の霊は、あるいは事故で亡くなった女性の姿なのか、火葬場で荼毘に付された誰かの成れの果てなのかは分からない。
しかしその存在は、人の恐怖を糧にしてますますこの地に根を張っているようにも思える。
この火葬場に纏わる数多の怪異は、単なる偶然や気のせいで済ませるにはあまりに生々しく、人の心の闇にそっと爪を立ててくるのである。
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