静かな山間にひっそりと佇む「武士滝橋(武士釈迦堂)」。その場所には、戦国の世に命を落とした武士の霊や、不気味な声、光の球体といった心霊現象が数多く報告されている。今回は、武士滝橋(武士釈迦堂)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
武士滝橋(武士釈迦堂)とは?
の外観-1.jpg)
武士滝橋は、広島県東広島市西条町田口に位置し、黒瀬川の支流である古河川にかかる滝「武士の滝(ぶしのたき)」を跨ぐ橋である。
この地にはかつて、戦国時代に二神山城の武士たちが馬を洗っていたという言い伝えが残っており、滝の名はその故事に由来するとされる。
また、中世に存在した「仏師名(ぶっしな)」という地名が訛ったとの説もある。
滝の傍には「武士釈迦堂」が静かに建っており、人々の安寧を願って建立されたという。
堂内には五輪塔の一部と見られる古い石が収められており、その存在がいっそう神秘性と霊的な気配を醸し出している。
しかしこの場所には、滝と橋、そして堂の静寂とは裏腹に、不穏な気配がつねに漂っている。
武士滝橋(武士釈迦堂)の心霊現象
武士滝橋(武士釈迦堂)の心霊現象は、
- 滝壺付近に、甲冑姿の男性の霊が立ち尽くしている
- 誰もいない橋の上から、男や女、赤ん坊の声が聞こえてくる
- 夜になると、釈迦堂付近でオーブが飛び交う様子が見られる
- 橋の下から呼びかけるような声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名なのは、滝壺付近に現れる甲冑姿の男性霊である。
これは、戦国の世に命を落とした武士の亡霊であるとされている。
特に雨の日や夕暮れ時、滝壺の岩陰にうなだれた男の影が立ち尽くしているという目撃談が絶えない。
その姿を見た者は、決まって「底知れぬ怒りの気配を感じた」と証言する。
また、橋の上に立つと、背後から声をかけられることがあるという。
振り返っても誰もおらず、聞こえてきたのは男とも女ともつかぬ声や、時に赤ん坊の泣き声である。
しかもその声は、足元の深い谷底から這い上がるように聞こえてくるのだという。
釈迦堂周辺では、夜になると無数のオーブが飛び交う様子が見られるとの報告がある。
それはまるで、この地に眠る無念の魂が空中をさまよっているかのようである。
そして何より恐ろしいのは、橋の下から這い上がるような呻き声である。
ある者はそれを「自分の名を呼ばれた」と語り、別の者は「地面が震えるような音だった」と怯える。
武士滝橋(武士釈迦堂)の心霊体験談
とある中年男性が夏の昼下がりにこの地を訪れた。観光のつもりで、釈迦堂の横を通り、橋を渡り、滝の姿を橋の上から覗き込んだという。
すると突然、耳元で「戻れ」と低い男の声が響いた。
誰もいない。慌てて振り返った彼の背後には、ただ冷たい風が流れていただけだった。
また別の女性は、夜に一人で訪れ、橋の上で足を止めたところ、川の水音に混じって赤子の泣き声を耳にした。
声の出所を探しているうちに、突然あたりの空気が重くなり、体が動かなくなったという。なんとか逃げ出した彼女は、その後一週間高熱にうなされた。
武士滝橋(武士釈迦堂)の心霊考察
この場所がこれほどまでに強い霊的現象に覆われている背景には、幾つかの要因が考えられる。
まず、二神山城に仕えた武士たちの魂が、今なおこの地に留まり続けている可能性がある。
彼らの多くは、戦の中で無念の最期を遂げたとされ、その未練が強い霊的エネルギーとして滝壺や橋の下に残っているのかもしれない。
また、釈迦堂に安置されている石――五輪塔の一部と見られるそれが、本来あるべき場所から移され、安寧を得られぬまま周囲の気を乱しているという説もある。
さらに、現在では滝周辺の手入れが行き届かず、草木に覆われ、人の足が遠のいたことで、長らく沈黙していた霊たちの声が、再びこの地に満ち始めたのではないか。
風情ある景観の裏に潜む、目に見えぬ恐怖。
それこそが、武士滝橋(武士釈迦堂)の真の姿なのかもしれない。
コメント