高松城下町の一角に残された「血屋敷井戸跡」は、発掘調査で再び姿を現した古井戸である。かつて血にまつわる役割を担ったと伝わり、現在も鉄格子で封じられたその姿は異様な存在感を放っている。井戸の周囲では声や影、赤い光といった怪異が語られ、地元では「触れてはならない場所」と恐れられてきた。今回は、高松城番町血屋敷井戸跡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
高松城番町血屋敷井戸跡とは?

高松城は桃山時代、豊臣秀吉の家臣・生駒親正によって築かれた城である。
その城下町の一角、現在の高松三越北側の駐車場の奥に、不気味に鉄格子で封じられた「血屋敷井戸跡」が存在している。
この井戸は2005年、再開発事業に伴う発掘調査で偶然に姿を現した。
古地図にはすでに「血屋敷井戸」と明記されており、埋め立てられ忘れ去られたはずの井戸が、数百年の時を経て甦ったのである。
しかし、井戸は「呪われた場所」と恐れられ、発掘後すぐに破壊され、駐車場の一角に象徴的に復元されたに過ぎない。
古い文献や地元の言い伝えによれば、この井戸は生活用水としてではなく、人の死や血にまつわる暗い役割を持っていたとされる。
井戸跡の周囲には「線香を放置するな」という注意書きや「ボヤがあった」という不気味な張り紙が残されており、いまだに供養の炎が何かを呼び覚ましてしまうと信じられている。
高松城番町血屋敷井戸跡の心霊現象
高松城番町血屋敷井戸跡の心霊現象は、
- 井戸の中から男性の霊が現れる
- 「まだない」という老人のような低い声が聞こえる
- 赤い光、白い煙、黒い影が一瞬現れては消える
- 井戸の格子越しに、女の顔や白い手が覗く
- 夜になると周囲の空気が異様に冷え、足早に避ける人が後を絶たない
である。以下、これらの怪異について記述する。
血屋敷井戸は、ただの史跡ではない。
深夜、井戸を覗き込んだ者は、赤い光とともに白い煙が立ちのぼり、格子の奥から黒い影が動くのを目撃したと語っている。
その影は時に、羅生門の絵に描かれるような女の日本髪姿や、窓から這い出そうとする手の形となって現れる。
また、ある夜更け、井戸の前で「まだ ない」という低くざらついた声が耳元に響いたという。
この声は、まるで「一枚、二枚」と皿を数える怪談に似ており、血屋敷井戸が皿屋敷伝説と混同される理由ともなっている。
周辺は商業地の中心でありながら、不思議と人通りが絶える。
昼間こそ整備され恐怖を感じにくいが、夜になると裁判所や駐車場の無機質な建物に囲まれた通りは異様な静けさを帯び、女性がわざわざ足早に道を変えて避ける光景が確認されている。
高松城番町血屋敷井戸跡の心霊体験談
ある人物は、午前2時頃に井戸跡を訪れた際、誰もいないのに「ま↑だ↓な↓い」と奇妙な抑揚で声がしたと証言している。
その声は老人の呪詛のようであり、背筋を凍らせたという。
また別の体験談では、格子越しに覗いた瞬間、赤い光と白煙の中から黒い影が浮かび上がり、すぐに消えた。
恐怖のあまり、その場で名を名乗り挨拶をして退散したと語られている。
高松城番町血屋敷井戸跡の心霊考察
井戸は古来より「水神」を祀る神聖な場所であった。だが、その井戸を乱暴に破壊し、埋め戻す行為は祟りを呼ぶとされている。
実際、血屋敷井戸を含む高松城周辺の再開発や城門復元工事では不可解な事故が相次ぎ、市の幹部が「呪われている」と漏らしたこともある。
血屋敷井戸に現れる霊や声は、単なる想像ではなく、井戸に眠る“封じられたもの”が現世に漏れ出している証左ではないか。
赤い光は血の残滓、白い煙は供養を求める魂の吐息、そして「まだない」という声は、いまだ果たされぬ怨念の数え言葉であるとも解釈できる。
高松の中心部という日常の只中にありながら、この場所だけが夜の闇に沈むのは、まぎれもなく井戸そのものが“異界への口”だからであろう。
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