姫浜海岸は、戦国時代に川之江城主の娘が父の後を追い海へ身投げしたという悲劇に由来する場所である。その名の通り姫の亡骸が流れ着いた浜とされ、現在も女の霊の目撃やすすり泣きの怪異が語られている。今回は、姫浜海岸にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
姫浜海岸とは?

姫浜海岸は、愛媛県四国中央市に位置する遠浅の海岸である。
干潟が広がり、多くの野鳥が訪れる自然豊かな場所であり、隣接する一の宮海水浴場や一の宮公園とあわせて観光地として親しまれている。
しかし、この美しい浜の名前には、戦国時代に起きた血塗られた悲劇が深く関わっている。
川之江城の城主が戦で討ち死にしたという知らせを受けた娘(姫)が、父の後を追って城山の断崖から海に身を投げたのである。
数日後、その遺体は豊浜の浜に流れ着き、村人によって弔われ埋葬された。
以後、この浜は「姫浜」と呼ばれるようになったのである。
姫浜海岸の心霊現象
姫浜海岸の心霊現象は、
- 川之江城の方向を見つめながら悲しげに立つ女の霊の目撃
- 深夜、波打ち際で誰かがすすり泣く声が聞こえる
- 砂浜に一人分の足跡が突如現れ、海に消える現象
- 写真を撮ると、女の白い顔が写り込む怪異
である。以下、これらの怪異について記述する。
目撃談で最も有名なのは、川之江城の方角を見つめて佇む女の霊である。
白い着物を身にまとい、風に髪を乱しながら城の方角をじっと見つめる姿は、父を慕い続ける姫の未練そのものであると語られている。
また、深夜に海辺を歩くと、波音に混じって女のすすり泣きが聞こえることがあるという。
その声は次第に近づき、振り返った者は誰もいないはずの砂浜に濡れた足跡だけを見つけるという。
足跡は必ず海へと続き、その先で跡は途絶えている。
さらに、観光客が記念に撮った写真に、浜辺に立つ女性の顔が写り込むことがあり、その表情は決まって悲痛に歪んでいるとされる。
これらの怪異は、姫が今もなお父を追って果てた瞬間を繰り返しているかのようである。
姫浜海岸の心霊体験談
ある地元の男性は、夏の夜に友人と肝試しに姫浜海岸を訪れた。
月明かりに照らされた砂浜を歩いていると、友人が突然立ち止まり「誰か泣いている」と震え声で告げた。
耳を澄ますと、確かに波音に混じって女性のすすり泣きが聞こえた。
慌てて浜を離れようとしたとき、砂の上に三人分のはずの足跡に、いつの間にか四人目の細い足跡が並んでいたという。
恐怖に駆られた彼らは一目散に逃げ帰ったが、帰宅後に撮った写真を確認すると、背後に白い顔の女がはっきりと写り込んでいたという。
姫浜海岸の心霊考察
姫浜海岸に現れる女の霊は、川之江城主の娘の亡霊である可能性が高い。
討ち死にした父を追って命を絶ち、波に揺られて流れ着いたその無念は、数百年を経ても消えることなく浜に刻まれているのであろう。
すすり泣きや足跡の怪異は、姫が父を探し求めながら海へと歩み続ける姿の残滓であると考えられる。
また、写真に写り込む霊は、訪れる者に自らの悲劇を忘れさせまいとする強い執念の表れである。
美しい観光地としての一面を持ちながら、姫浜海岸は今もなお、戦国の悲劇を抱えた心霊の地として語り継がれているのである。
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