香川県小豆島町に位置する橘峠は、古くから交通の難所として知られ、白い着物の女の幽霊や異形の妖怪が出没するという噂が絶えない場所である。さらに峠脇の藪に佇むお地蔵さんや井戸に近づくと体調不良を起こすとも語られており、数々の怪異が囁かれてきたという。今回は、橘峠にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
橘峠とは?

橘峠(たちばなとうげ)は、小豆島町の安田地区と福田地区を結ぶ国道436号線上に位置する標高129メートルの峠である。
付近は急カーブが連続し、古くから交通の難所として知られてきた。
昭和40年代以降の観光開発期には周辺に別荘やテニスコートが建設され、一定の人の往来があったものの、バイパス開通後は通行量が激減し、現在では寂しさが漂う場所となっている。
こうした環境も手伝い、橘峠には数多くの心霊の噂が根強く残っているのである。
橘峠の心霊現象
橘峠の心霊現象は、
- 白い着物を纏った女の幽霊が現れる
- 一つ目・片腕・一本足といった異形の妖怪が出没する
- 白い乗用車の運転手の腕を掴む霊がいる
- 峠脇の藪の中にあるお地蔵さんと井戸に入ると、頭痛や発熱などの体調不良を起こす
である。以下、これらの怪異について記述する。
橘峠で最も多く語られるのは、白い着物を纏った女の幽霊である。
典型的な日本の幽霊の姿をしたその女は、深夜に現れるとされ、通行人をじっと見つめたり、時には車道へふらりと姿を現すという。
また、一つ目に片腕、さらに一本足といった、妖怪じみた異形の存在も報告されており、恐怖を一層濃くしている。
さらに恐ろしいのは、白い乗用車の運転手が突然、何者かに腕を掴まれるという体験談である。
ハンドルを握る腕を見れば、そこには見知らぬ白い手が添えられていたという証言まで残っている。
そして、峠脇の藪に隠れるように佇むお地蔵さんと井戸。
この場所は地元の人々にとっては畏れの対象であり、部外者が近づくと強烈な頭痛や発熱に襲われるという。
実際に訪れた者が数日間寝込んだという話もあり、偶然では片づけられぬ不可解さが漂っている。
橘峠の心霊体験談
ある探訪者は、夜の橘峠を車で越えた際、急カーブの手前で後部座席に誰かが座っている気配を感じたという。
振り返れば誰もいなかったが、ミラー越しには確かに白い影が映っていた。
また、別の人物は藪の中のお地蔵さんを見に行った直後から原因不明の発熱に苦しめられ、数日間寝込んだという。
本人は「偶然」と語ったが、その声音には震えが混じっていたとされる。
橘峠の心霊考察
橘峠にまつわる怪異は、いずれも「境界」に由来するものと考えられる。
交通の難所であり、多くの事故や恐怖体験が蓄積された場所であることが、一連の心霊現象を呼び寄せているのであろう。
また、お地蔵さんと井戸という「祀られた存在」と「異界への入口」が同じ藪の中に存在していることも、不可思議な現象の源となっている可能性が高い。
往来の途絶えた峠は今も静寂に包まれている。
しかし、その静けさの中には、決して触れてはならない「何か」が潜んでいるのかもしれないのである。
コメント