松山市中島にある五輪塔群は、歴史的な墓塔群であると同時に、訪れる者に不気味な気配を感じさせる心霊スポットでもあるという。今回は、五輪塔群にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
五輪塔群とは?

史跡 五輪塔群 昭和40年(1965)6月3日 市指定
五輪塔というのは、大日如来を象徴的に表現したものである。
最初は成仏を祈願したものであったが、追々と死者の供養を願って墓塔として造られるようになった。
当地の五輪塔群は、材質も凝灰岩、砂岩、花崗岩等があり、また様式のあるものとないものがあり、歴史的に時代への変化が窺える。
金石文彙や山の墓石群と推定されている。
石材の運搬経路及び埋葬の存在(真言宗との関連墓塔とする)は近世における歴史的事実を物語っているものといえよう。
これらは、昭和20年頃に大工建築士 上田勘平、両氏によって再建されたものである。
新居浜市教育委員会
五輪塔群の心霊現象
五輪塔群の心霊現象は、
- 椅子とテーブルに霊が座っているような不気味な気配
- お堂裏にある廃墟から漂う異様な気配
- 道を進むと浮かび上がる人影
- お堂近くで足音や声が聞こえるという証言
である。以下、これらの怪異について記述する。
五輪塔群の正面には、場違いなように置かれた椅子とテーブルがあり、まるで見えない誰かがそこに腰掛けて談笑しているかのような錯覚を覚える。
訪問者の多くは「ここには座ってはいけない」と直感的に感じるという。
お堂の裏には、崩れかけた廃墟が存在し、昼間でも異様な空気が漂っている。
壁に空いた穴や暗がりの奥からは視線を感じるとの声がある。夜に近づけば、影がうごめくのを見た者も少なくない。
また、夕暮れ時にその周辺を通った人が、浮かび上がるように立つ「人の影」を見たという体験が報告されている。
自転車で駆け抜けた後に振り返ると、その影は跡形もなく消え去っていた。完全な人の姿をした影であり、見間違いではないと語られている。
さらに、お堂や山に続く階段の付近では、誰もいないのに足音がついてくるように聞こえることがある。
耳を澄ますと、低く押し殺したような声が背後から響くという。
五輪塔群の心霊体験談
「18時50分ごろにその道を通った際、人の影が宙に浮いていたのをはっきりと見た。私は自転車でそこそこの速度で走っていたが、通り過ぎた後に振り返ると、もう影はいなかった。あれは見間違いではない。完璧に人の姿をしていた。」
この証言は一過性の幻覚ではなく、他の訪問者が語る「浮かぶ影」の話と符合している。
五輪塔群の心霊考察
五輪塔群が不気味さを漂わせる理由の一つは、この地に眠る戦国期の武士や兵士たちの怨念であると考えられる。
椅子やテーブルが置かれた正面に霊が腰を下ろすというウワサは、彼らがいまだ語り合い、休むことなく漂い続けていることを示しているのかもしれない。
また、廃墟やお堂の裏に現れる異様な影は、単なる視覚の錯覚ではなく、土地そのものに刻まれた「死者の記憶」が形を成して現れていると推察される。
浮かび上がる人影、耳元で聞こえる声、足音――これらはすべて、五輪塔群がただの史跡ではなく、今なお死者が行き交う「異界の門」であることを物語っているのである。
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