高知県宿毛市に残る旧宿毛トンネルは、昭和初期に手掘りで開削された歴史ある隧道である。現在は廃道化し荒れ果てているが、その内部では写真に人の顔が写り込む、出口で女性の霊が立っていたなど数々の怪異が報告されている。今回は、旧宿毛トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
旧宿毛トンネルとは?

旧宿毛トンネル(宿毛隧道)は昭和4(1929)年に開通した手彫りのトンネルである。
全長は217m、幅4.1m、高さ4.8mと小規模ながら、当時の交通を支える重要な道であった。
昭和46(1971)年に新しい宿毛トンネルが完成して以降は旧道化し、次第に利用者も途絶えていった。
現在では土砂崩れや浸水の影響で廃墟同然の姿となり、廃隧道に近い状態にある。
内部は手掘りの荒々しい岩肌が残され、長年の湿気と闇が重なり合い、異様な雰囲気を漂わせている。
旧宿毛トンネルの心霊現象
旧宿毛トンネルの心霊現象は、
- トンネル内部の手掘りの壁を撮影すると、人の顔のようなものが写り込む
- トンネル出口付近で林の向こうに女性の姿が立っていたという目撃談
- 内部で異様な寒気と視線を感じる
- 浸水箇所で足を取られると「誰かに引き込まれる感覚」がする
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名なのは、手掘りの壁を写真に収めると「人の顔」が浮かび上がるという現象である。
ゴツゴツとした岩肌の影や苔が偶然そう見えるのかもしれない。
しかし、複数の利用者が「はっきりとした人の顔が写った」と証言しており、偶然では片付けられない不気味さを残す。
また、トンネルを抜けた直後、林の奥に女性がじっと立っていたという話がある。
その姿は無言のまま動かず、ただ通行者を見つめていたという。
人間だったのか、それとも霊だったのかは不明であるが、どちらであっても背筋が凍る体験である。
さらに内部は湿気が強く、深い浸水が広がる。
長靴でも沈み込むほど泥が堆積し、歩行中に「足首を掴まれたような感覚」を訴える者もいる。
暗闇に包まれると誰もいないはずの背後から足音が響くように感じ、強烈な視線に追われるという証言もある。
旧宿毛トンネルの心霊体験談
実際に訪れた者の体験では、浸水の中を進んでいた際、泥に足を取られ「底から誰かに引きずり込まれる感覚」に襲われたという。
慌てて抜け出したものの、背後から確かに「水の中を歩くような音」がついてきたと語られている。
また、別の探索者はトンネル内で写真を撮影したところ、岩の影に浮かぶ人の顔が複数写っていたという。
確認した時、撮影者の背筋に冷たい汗が流れ、二度と訪れる気は起きないと記している。
旧宿毛トンネルの心霊考察
旧宿毛トンネルは、昭和初期に手掘りで開削された隧道であり、長年人々の往来を支えてきた。
しかし新道の開通により役目を終え、次第に忘れ去られた。その荒廃した姿は死と廃墟の象徴であり、霊を引き寄せやすい環境となっている可能性が高い。
手掘りの壁に浮かぶ顔は「残留思念」が刻み込まれた結果かもしれない。
出口で目撃された女性も、この地に縛られた霊の姿だと考えられる。
そして浸水による足を掴まれる感覚は、過去に水没で命を落とした者の無念の表れとも推測できる。
旧宿毛トンネルは単なる廃トンネルではなく、土地に刻まれた歴史と怨念が形を変えて現れる場所である。
夜に一人で訪れたなら、写真に写るのは「偶然」ではなく、確かにこちらを見ている何者かかもしれない。
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