高知市洞ヶ島町にある薫的神社は、かつて無実の罪で命を落とした僧・薫的大和尚を祀る古社である。怨霊を鎮めるために建てられたと伝えられ、今も和尚が命を絶った牢舎が残る。今回は、薫的神社にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
薫的神社とは?

薫的神社(くんてきじんじゃ)は、高知市洞ヶ島町に鎮座する古社である。
御祭神は、かつて瑞應寺の住職であった薫的大和尚。長曽我部家の菩提寺を守るために藩政に抗い、無実の罪で投獄され、牢内で自害したと伝わる人物である。
その死ののち、藩主・山内家の間に怪異が相次ぎ、怨霊を鎮めるためにこの地に社が建てられたと伝承されている。
現在の境内には、薫的和尚が命を絶った牢舎が移築されており、同じく土佐勤王党の志士たちが投獄された「山田橋番所」も保存されている。
夜になると、その牢舎の周囲を人影のようなものが歩くのを見たという噂があり、「薫的様の魂はいまだこの地に留まっている」と囁かれている。
薫的神社の心霊現象
薫的神社の心霊現象は、
- 夜の境内で人影を見たという報告がある
- 牢舎の中から声のようなものが聞こえる
- 撮影した写真に白い霧や顔のような影が映る
- 参拝中、背後に人の気配を感じる
である。以下、これらの怪異について記述する。
薫的神社の境内は広く、昼間でもどこか湿った静けさが漂っている。
特に本殿裏の一角にある「御牢」は、薫的和尚が命を絶った場所として知られ、木造の建屋が今なお当時の姿を保っている。
中を覗くと、暗い木の壁に小さな格子窓があり、差し込む光が床に細く落ちている。
その光景を見ただけで、訪れた者の背筋に冷たいものが走る。
夜にこの牢の前を通った人の中には、「格子の向こうから誰かが見ていた」と証言する者もいる。
影のように立つその姿は、薫的和尚の亡霊、あるいは共に投獄された土佐勤王党の霊だとも言われている。
また、写真を撮ると不思議な白いもやや、人の顔のような影が映ることがあり、地元では「無念の念が宿る場所」として恐れられている。
特に夜間に訪れると、風が止み、境内全体が異様に静まり返る。
耳を澄ますと、誰もいないのに草履のような足音が砂利を踏む音が聞こえることがあるという。
薫的神社の心霊体験談
ある参拝者は、夜に勝負事の祈願のため訪れたという。
本殿で手を合わせたあと、ふと背後から視線を感じて振り向くと、灯籠の陰に人のような影が一瞬立っていた。
誰かがそこにいると思い声をかけたが、返事はなく、近づいてみると誰もいなかった。
その後、その人物は体調を崩し、しばらくの間、夢の中で牢の中に閉じ込められる悪夢を見続けたという。
また、昼間に参拝した人でも、牢舎の中を覗いた瞬間に「寒気が走り、胸が重くなった」と語る者がいる。
神聖な空気の中に、確かに何かが“生きている”ような感覚を受けると証言している。
薫的神社の心霊考察
薫的神社に漂う重苦しい空気は、単なる気のせいではないと考えられる。
薫的和尚は信念を貫き、権力に屈せず命を絶った。その烈しい精神が、死を超えてなおこの地に残留しているのではないか。
また、牢舎や山田橋番所といった“死を閉じ込めた建物”がそのまま境内に存在していることも、異様な念を強めている一因である。
薫的神社の霊現象は、怨霊の恐怖というよりも、信念を貫いた者の執念の表れであるともいえる。
だが、その“静かな怒り”に触れた者は、誰もが口を揃えて「空気が違う」と語る。
この神社には、信仰と怨念が交わる“生きた霊場”としての気配が、今もなお息づいているのかもしれない。
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