高知県香美市の山中にかつて存在したレジャー施設「麓宝園」。釣り堀やレストランを備えた賑やかな観光地であったが、昭和50年に廃業し、やがて跡形もなく解体された。それにもかかわらず、現在もこの場所では「見返り橋で振り返ると廃病院が現れる」「女性の霊が現れる」といった不可解な噂が絶えない。今回は、麓宝園跡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
麓宝園跡とは？
麓宝園（ろっぽうえん）は、かつて高知県香美市にあった大規模なレジャー施設である。
運営は富田造林株式会社で、施設内には釣り堀やゴーカート、庭園、レストラン、ゲームコーナー、理美容室、宴会場など、多彩な娯楽設備が並んでいた。
さらにアマゴやヤマメの養魚場「高知大学淡水養魚実験場」や、キジの養殖・有料狩猟区まで備えた、総合リゾートのような空間だったという。
しかし、昭和50年（1975年）頃に廃業。
それ以降は人が寄りつかぬ廃墟と化し、時間とともに建物は朽ち、やがて完全に解体された。
現在は「さがわの森」として佐川急便の研修施設と植樹地になっており、当時を偲ばせるものはほとんど残されていない。
それにも関わらず、この場所には今なお「見返り橋」と呼ばれる場所を中心に、奇妙な噂が語り継がれている。
麓宝園跡の心霊現象
麓宝園跡の心霊現象は、
- 見返り橋で振り返ると、廃病院のような建物が現れる
- 建物の中に入ると二度と外に出られない
- 白い車に乗った女性の霊が現れる
- 深夜、女性の悲鳴が聞こえる
- 霊感の強い者が行くと、霊を目撃したり、失神しかける
- 車のライトや鍵などが突然故障する
である。以下、これらの怪異について記述する。
最も有名なのが「見返り橋」の伝説である。
この橋は、もともと振り返りたくなるほど美しい景色が由来とされていた。
しかし心霊的には、「決して振り返ってはいけない橋」として知られるようになった。
夜中、この橋の上で振り返ると、麓宝園の跡地に“存在しないはずの病院”が現れるという。
その建物は廃病院のように見え、扉を開けて中に入った者は外へ戻ることができなくなると噂されている。
実際に訪れた者の証言によれば、麓宝園の奥には「別館」が存在し、その地下トイレが特に危険視されていたという。
出入口がコンクリートで完全に封鎖され、異様な雰囲気を放っていた。
別館周辺では、夜になると女性の悲鳴が響くといわれていた。
あるグループの体験談によれば、深夜に現地へ向かう途中、真っ白なスカイラインに乗った女性とすれ違った直後に異変が起きた。
現場に到着し、1人が建物内を探索している間、外で待機していた3人は女性の悲鳴をはっきりと聞いたという。
帰り道、4人が見返り橋で「せーの」と同時に振り返った瞬間、車の両側のヘッドライトが同時に消えた。
ヒューズが飛んだのだ。偶然にしてはあまりに奇妙な出来事である。
また、当時この場所には「立入禁止、違反者は罰金数千万円」と書かれた看板が立てられていたという。
誰が設置したのかは不明だが、その異様な警告文が恐怖をさらに強めた。
一部では「病院の話は別の廃ビルと混同されたものだ」との説もある。
近隣の若宮温泉近くに存在した廃ビルが老人病院として知られており、それを麓宝園と勘違いしたという指摘もある。
しかし、現地を訪れた多くの者が「橋で振り返ると建物が見えた」と証言しているのも事実である。
麓宝園跡の心霊体験談
地元では、麓宝園跡が「肝試しの定番スポット」として知られていた。
ある人は、夜に行ったとき「霊感のある友人が突然倒れかけた」と話す。
霊感がない者同士で訪れると何も起こらないが、1人でも感受性の強い者がいると、複数の霊体を見たという報告もある。
また、かつて訪れた者の証言によると、本館入口の事務所のような建物は、なぜか“薪を積み上げるように”塞がれていたという。
通常の封鎖方法ではなく、まるで「中から出られないように」するかのような異様な塞ぎ方であったという。
それを知った人々の間では「本当の危険はその中にあったのではないか」と囁かれている。
麓宝園跡の心霊考察
麓宝園跡の怪異は、物理的な痕跡をほぼ失った今も語り継がれている。
廃病院の出現、白い車の女性、悲鳴、機器の故障──いずれも心霊現象の典型ではあるが、この場所の特徴は「廃墟がもう存在しないのに、幻の建物として目撃される」という点にある。
「見返り橋」は、振り返るという行為そのものが異界への境界を越える儀式のように扱われている。
廃墟の消失とともに、かつてそこに宿った“記憶”だけが残り、それが橋を介して再び形をとるのかもしれない。
もし廃病院を見た者が存在するなら、それは現実に建つ建物ではなく、この土地に刻まれた“残留思念”そのものと考えられる。
いずれにせよ、現在の麓宝園跡には何もない。
だが、見返り橋の上で振り返ったその瞬間、あなたの目に何が映るか──それは誰にもわからない。
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