山口市徳地の山中にひっそりと残された「裸掘隧道」と「裸隧道」。かつて林業関係者が通った旧道に位置するこの2本の隧道には、少女の霊が現れる、話し声が聞こえるなど、数々の不可解な心霊現象が語り継がれている。今回は、裸掘隧道・裸隧道にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
裸掘隧道・裸隧道とは?

裸掘隧道と裸隧道は、山口市徳地の山中にひっそりと残された旧道上の隧道である。
いずれも佐波川ダムの上流付近に位置し、現在は車両の通行が困難なほど荒れ果てている。
周辺には街灯もなく、夜間に立ち入ることは極めて危険である。
隧道の近くには「野谷石風呂」と呼ばれる史跡も存在し、文化庁指定の文化財が点在する一帯でもある。
裸隧道は岩盤をくり抜いて造られた小さな隧道であり、素掘りの内部をコンクリートで覆った簡素な構造を持つ。
一方の裸掘隧道は、高さ3.0mという制限が課された構造で、落石や倒木が道をふさいでおり、徒歩でも進行に注意が必要な状況となっている。
どちらの隧道にも銘板や扁額といった公式な情報は確認されておらず、正式名称は不明であることから、通称で呼ばれている。
かつてこの道が林業関係者に利用されていた記録もあり、昭和の時代から人々の営みと共に存在してきた歴史がある。
裸掘隧道・裸隧道の心霊現象
裸掘隧道・裸隧道の心霊現象は、
- 夜間に少女の霊が現れるという噂
- 隧道内で人の話し声が聞こえる
- 通過中に誰かに見られているような強い視線を感じる
- 撮影した写真に不自然な霧や人影が写り込む
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、「少女の霊」に関する噂であるが、これは裸隧道を夜間に訪れた者たちの間で語り継がれている。
トンネル内部に入った瞬間、背後から白いワンピースを着た少女が歩いてくるのを見たという証言が複数ある。
驚いて振り向いたものの、そこには誰もいなかったという。少女は無言で、ただ下を向いていたとも言われている。
次に「人の話し声」が聞こえる現象について。裸掘隧道の内部を歩いていると、すぐ近くで誰かが小声で話しているような気配を感じるという。
耳を澄ませても内容はわからず、声の主の姿も見えない。あたりに人の気配がまったくない状態でこれが起きるため、不気味さが際立つ。
「強い視線」を感じるという現象は、裸隧道から裸掘隧道へと向かう途中に発生することが多い。
両側を山に囲まれた一本道の中で、背後からジッと見られているような気配に襲われるという。
多くの体験者が「誰かが付いてきている感じがする」と証言しており、恐怖のあまり途中で引き返した者も少なくない。
また、隧道内で撮影された写真には、白いもやのような霧や、人の顔のような影が写り込むという報告がある。
とくに夜間の撮影では不可解な現象が頻発しており、何も写っていないはずの場所にぼんやりと浮かぶ人影に戦慄したという声もある。
裸掘隧道・裸隧道の心霊体験談
ある若者たちが夜中に肝試し目的で訪れた際の体験である。
懐中電灯を手に裸隧道に入った直後、誰もいないはずの隧道内から「こっちへおいで」と呼ぶような声が響いたという。
一人が驚いてライトを落とし、足元が真っ暗になった瞬間、背中に冷たい手のような感触があったという。
また、別の日に訪れた一人の登山者は、裸掘隧道を通り抜けた直後、急に立ち止まり振り返った。
誰もいないはずの通路の先に、確かに人影が立っていたという。
その人物はぼやけた輪郭で、ただこちらをじっと見ていたそうだ。
咄嗟に写真を撮ったが、後で確認すると、その人影は写っていなかった。
裸掘隧道・裸隧道の心霊考察
裸掘隧道および裸隧道に現れるという少女の霊は、この場所がかつて林業関係者や地元住民にとっての生活道路であったことに由来している可能性がある。
山奥で命を落とした者がいたとすれば、その霊が成仏できず、この場所に留まっていると考えられる。
また、道幅の狭い山道、閉塞感のある隧道内、鬱蒼とした自然、そして荒廃した景観。
こうした環境が訪れる者の心理に恐怖を植えつけ、不可解な現象を引き寄せているとも言える。
心霊現象の多くが視覚や聴覚に訴えるものである点から、霊的エネルギーが場所に染みついている可能性も否定できない。
通称「裸隧道」「裸掘隧道」と呼ばれるこれらの隧道は、正式な記録が乏しく、その素性が曖昧なまま人々の記憶から忘れ去られようとしている。
しかし、心霊現象が語り継がれていることからも、そこに“何か”が残っているという実感を持たざるを得ない。
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