広島県福山市にかつて存在した「仏壇の家」は、老爺の霊が現れるなど数多くの怪異が語られ、人々を恐怖の底へ突き落としてきた場所である。仏壇の真上に部屋を設けるという禁忌を犯した家屋は、朽ち果て廃墟と化すまで怨念を溜め込み、訪れた者に容赦なくその禍を振りまいたという。今回は、仏壇の家にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
仏壇の家とは?

仏壇の家とは、広島県福山市に存在した廃屋の通称である。
この場所は、かつて晴醐苑ホテルという宿泊施設を経営していた人物の本宅跡と噂されている。
ホテルが閉業したのち、隣接する従業員寮らしき建物と共に長らく放置され、やがて朽ち果てた廃墟と化した。
特にこの家は、一階に祀られた仏壇の真上に部屋がある奇妙な造りから、「仏壇の家」と呼ばれ、人々の恐怖心を煽ったのである。
なお、この不気味な家屋は2018年から2020年頃に解体され、現在は太陽光発電設備が敷設されているため、すでに現存していない。
仏壇の家の心霊現象
仏壇の家の心霊現象は、
- 老爺の霊が現れる
- 夜な夜な人影が窓辺に佇んでいる
- 敷地内に入ると足音が背後を追いかけてくる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、老爺の霊が現れるという話は、この家に足を踏み入れた者の多くが語る。
荒れ果てた室内で何かの視線を感じ振り返ると、痩せこけた着物姿の老爺が恨めしげにこちらを見つめていたという。
心霊の噂は、晴醐苑ホテルが廃業して以降、地元住民の間で絶えることがなかった。
「決して仏壇の上に部屋を作ってはならない」という古い戒めを破った因果か、家全体に禍々しい気配が漂っていたと言われる。
また、夜にこの家を訪れた若者の証言では、二階の割れた窓辺に確かに人影が佇んでおり、凝視しているとふっと消え去ったという。
さらに恐ろしいのは、敷地に足を踏み入れた瞬間から背後に気配を感じ、家を出るまでずっと砂利を踏む足音がついてきたという話である。
振り返っても誰もいないが、冷たい風の中でその足音だけが耳にまとわりついて離れなかったそうだ。
仏壇の家の心霊体験談
実際に訪れた者の話をいくつか紹介する。
「床に古びた写真が散らばっていたのが気味悪かった。見覚えのない家族の笑顔が、今にも何か話しかけてきそうで…。あれは本当に怖かった。」
「もう二度と行きたくない。本当に、ここは人間の住む場所じゃない。あの夜以来、家に帰ってもずっと誰かに見られている気がする。」
また、ある設計士はこう語る。
「普通、仏壇の上には押し入れを配置することが多い。別に意識してそうするわけではなく、自然とそういうレイアウトになるのだ。ただし、トイレだけは絶対に仏壇の上に作るなと古くから言われている。仏壇は東向きか南向きに置くべしとも。」
別の者はこう言った。
「聞いた話だが、仏壇のある和室の上に部屋を作ってはいけないそうだ。仏壇を置くために壁を少し突出させるだろう。その真上に人が生活する部屋を作るのは、決してしてはならない禁忌だと。」
仏壇の家の心霊考察
仏壇は本来、家の中でも特別な聖域である。
その上に生活空間を設けることは、仏を踏みつける行為に等しく、強い不敬を意味する。
そうした穢れが積み重なった末に、この家には老爺の霊をはじめとする怨念が宿ったのではないだろうか。
解体され、太陽光発電所へと変わった今もなお、この土地には重苦しい空気が残っていると言われる。
決して軽い気持ちで足を踏み入れてはならない場所である。
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