青森県つがる市にある出来島海岸には、古くから恐ろしい言い伝えや水難事故が絶えないという。今回は、出来島海岸にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
出来島海岸とは?

出来島海岸は、津軽半島の日本海側に位置する長大な砂丘「七里長浜」の一角にある。
砂浜から約10メートルの高さに駐車場が設けられており、背後には切り立った断崖が迫る。
美しい水平線を望める一方で、どこか圧迫感と孤独感を抱かせる風景が広がっている。
かつてこの海岸には「弁天崎」と呼ばれる小さな岬が存在していた。
古老たちの話によれば、ここは“姥捨て”の地であり、食い扶持を減らすために年老いた者が置き去りにされたという。
このような凄惨な過去を持つためか、地元では「鬼の出る島=出鬼島(できじま)」と呼ばれ、人々は近づくことを避けてきた。
現在は「出来島海水浴場」として整備されているが、かつての言い伝えと不可解な水難事故の多発が、この地を恐怖の心霊スポットへと変貌させている。
出来島海岸の心霊現象
出来島海岸の心霊現象は、
- 老婆の霊が出現する
- 波音に混じってうめき声や念仏が聞こえる
- 海面を横切る人影が現れる
- 水中で足を引っ張られる感触を覚える
である。以下、これらの怪異について記述する。
老婆の霊が出現する
弁天崎の姥捨て伝説が根強く残るこの地では、年老いた女性の霊がたびたび目撃されている。
特に日没後、波打ち際を歩く白い影を見たという証言が多く、それは背を丸め、何かをつぶやきながらさまよっていたという。
姿を見た者は体調を崩すことが多く、老婆の怨念が強く残っているものと考えられている。
念仏のような声が聞こえる
真夜中、波の音に混じってかすかに聞こえるのは、まるで苦悶に満ちたうめき声や、低く響く念仏のような声であるという。
誰もいない海岸に響くその声は、正気を保っていられないほどの不気味さを持ち、実際に聞いた者の多くが急いでその場を離れている。
海面を横切る人影
夜の海を見つめていると、不意に黒い影が水平線上を横切るという。
この影は、波に合わせてふわふわと漂うように移動し、しかし足元や波紋が見えないため、実体のある存在とは思えない。
地元では「出鬼島の亡霊」と呼ばれ、霊感の強い者は泣き出してしまうこともあるという。
足を引っ張られる感触
出来島海岸では、毎年のように海難事故が起こっていた。中には海中で何者かに足を引かれたと証言する者もいる。
助かった者によれば、「確かに何かが脚をつかんでいた」とのこと。
溺死した霊が、生きている者を道連れにしているという噂もあり、水中には見えざる手が存在するとされている。
出来島海岸の心霊体験談
青森県つがる市の旧木造地区に位置する出来島海岸では、長年にわたり水難事故が後を絶たなかった。
かつては「溺死魔」と呼ばれるほどで、原因不明の溺死が続いていた。
ある人物は幽霊など信じていなかったが、昼夜にわたり現地調査を敢行した。
昼間の海は一見平穏に見えたが、急に深くなる海底、方向感覚を失わせる地形など、物理的にも危険な場所であったという。
だが、恐怖が本格化したのは夜である。
丑三つ時、出来島海岸に再び足を踏み入れると、そこはまるで異界のような空気に包まれていた。
波の音に混じり、確かに念仏のような声が聞こえ、さらには海面を何かが横切るのが見えたという。
その場を後にした彼は、「あれは本当にこの世のものだったのか。
あれこそ、この海岸で亡くなった者たちの無念の姿だったのではないか」と語っている。
出来島海岸の心霊考察
出来島海岸にまつわる心霊現象の多くは、歴史的背景と密接に関係している。
まず、姥捨て伝説の存在が強い怨念を残し、それが老婆の霊や念仏の声として顕現していると考えられる。
さらに、長年にわたる水難事故の積み重ねが、土地に「死の記憶」を刻みつけた。
これは、水中での足の引っ張りや人影といった現象に結びついている可能性がある。
実際、霊は水を媒体として出現しやすいとされており、出来島海岸の環境はそれに適している。
現地では、科学的な説明がつく事故もあるかもしれない。
しかし、それだけでは説明のつかない体験談や目撃証言が数多く存在することも事実である。
この海岸に残る怨念は、今もなお波とともに囁き続けているのかもしれない。
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