広島市中区にある江波皿山には、数々の不気味なウワサが存在する。人々の記憶に刻まれた惨劇の名残、そして今も語り継がれる不可解な現象――今回は、江波皿山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
江波皿山とは?

江波皿山(えばさらやま)は、広島県広島市中区江波二本松に位置する標高約50メートルの低山である。
かつては江波山と繋がり「江波島」と呼ばれていたが、周辺の埋め立てによって陸続きとなり、現在は住宅地の一角に佇む静かな山として存在している。
明治時代には公園として整備され、山頂には測量時代の名残である「江波皿山山頂測点標」がぽつりと残されている。
周囲は自然に囲まれ、昼間は地元の人々の散歩道や運動の場として親しまれているが、その裏には凄惨な歴史と心霊のウワサが絶えず囁かれている。
江波皿山の心霊現象
江波皿山の心霊現象は、
- 動物の霊が現れる
- 誰もいないのに声が聞こえる
- 夜になると異様な空気に包まれる場所がある
- 写真にオーブが映る
である。以下、これらの怪異について記述する。
江波皿山では、夜になると空気が一変する。
昼間の静寂とは裏腹に、暗闇に包まれた山道では人の気配が消えると同時に、動物の霊が現れるという報告が相次いでいる。
とくに犬のような四足の影が茂みの中から現れては消える現象がたびたび目撃されている。
山頂に続く道では、背後から話しかけるような声が聞こえるにもかかわらず、振り返っても誰もいないことがあるという。
しかもその声は時に複数人分で、男女の区別すらつかないほどの不気味さを孕んでいる。
さらに、山頂付近では空気が異様に重く感じられ、「この世のものではない何か」が確実に存在しているような圧を受けるという声が多い。
特に夜には、周囲が異様に静まり返り、耳鳴りのような音とともに“何か”が近づいてくるような錯覚に襲われるのだ。
江波皿山は、自殺者が多いことで地元では知られている。
ふもとにある公園のトイレでは、かつて首吊りによる自殺があったとされ、その後、そのトイレを使用した人物が発狂したとのウワサが広がった。
あくまでウワサではあるが、場所柄を考えれば無視できない話である。
また、近隣には原爆の爆心地に近く、かつてはだしのゲンのアニメでも描かれたような「骨の山」をブルドーザーで押し潰したバス会社の跡地がある。
今も地中には骨が埋まっているという話もあり、土壌そのものに怨念が染みついている可能性も否定できない。
江波皿山の心霊体験談
ある地元住民は、江波皿山をウォーキングコースとして利用していたが、ある日、山頂のベンチで一息ついていると、明らかに人の気配を感じたという。
しかし、周囲には誰もおらず、立ち上がった瞬間、耳元で「まだ帰るな」と囁くような声がした。
また、別の人物は夜に山を登った際、カメラで撮影した写真に白く淡い光の球体、いわゆる“オーブ”が複数映り込んでいた。
しかもその位置は、かつて自殺者が出たとされるベンチの真上であった。
頂上の公園で首吊り死体を見たという証言もある。ある男性の叔父がまだ幼かった頃、友人と山に登った際、木の枝に吊るされた男性の遺体を目撃してしまったという。
以来、その叔父は江波皿山には一切近づかなくなった。
江波皿山の心霊考察
江波皿山にまつわる怪異は、単なる都市伝説では片付けられない深い背景を有している。
まず、地理的に原爆の爆心地に近く、大量の死者が一時的に運ばれた場所であるという歴史的事実がある。
土壌には未だ遺骨が眠る可能性もあり、その土地に漂う“死の記憶”が霊的現象を引き起こしていると考えられる。
また、過去に繰り返された自殺――それも無関係な人々が同じように命を絶つ場所となっていることから、“場所そのもの”が人の心を狂わせる要因を孕んでいると考えざるを得ない。
自殺の連鎖、声なき呼び声、そして見えない何かが人を引き寄せ、留めようとしているようにも思える。
霊感のある者には力強いパワースポットと感じられるという意見もあるが、それは必ずしも“善なる力”であるとは限らない。
“祀られるべき何か”が存在しているのかもしれない。
江波皿山は、昼と夜でまったく異なる顔を持つ。軽い運動の場として訪れる者にとっては、ただの山でしかない。
しかし、夜の江波皿山では、決して一人になってはならない――そう警告するかのように、数々の怪異が語り継がれているのである。
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