旧俎礁標のウワサの心霊話

山口県下関市、彦島の南端にひっそりと佇む旧俎礁標。日本の近代灯台の礎を築いた歴史的建造物でありながら、その足元には奇妙な噂が絶えない。今回は、旧俎礁標(きゅうまないたしょうひょう)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。


旧俎礁標とは?

旧俎礁標の外観

旧俎礁標は、山口県下関市の南端、彦島に存在する歴史的建造物である。

もともとは明治4年(1871年)、関門海峡の岩礁上に設置された「礁標(しょうひょう)」であり、海を行き交う船舶に危険を知らせる役割を担っていた。

設計は、日本の近代灯台建築の礎を築いた英国人技術者、R.H.ブラントンである。

その後、灯火技術の進歩と共に礁標は幾度かの改修を経て、明治23年には挂灯立標(かけとうりっぴょう)へと改められた。

さらにその役割を終えたのち、現在の地に移設され、灯台として機能するようになった。

これが旧「金ノ弦岬灯台」であり、2000年(平成12年)まで実際に使用されていた。

現在は下関市の有形文化財に指定され、2020年には六連島灯台の附(つけたり)として国の重要文化財に登録。

加えて日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡」の構成文化財にもなっている。

しかしその反面、灯台の立地は危険とされ、下関南霊園からの道は封鎖されており、公式には「非公開」とされている。


旧俎礁標の心霊現象

旧俎礁標の心霊現象は、

  • 崖の中腹に和服を着た子供の霊が五体、現れる
  • 灯台跡を覗き込むと「手招きする影」が見える
  • 墓地から展望台に立つと、背後に人の気配を感じる
  • 夜間、磯を渡る足音が背後からついてくる

である。以下、これらの怪異について記述する。

最も有名な心霊現象は、旧俎礁標の崖に現れる五体の子供の霊である。

いずれも和服姿で、うつむいたまま崖の中腹に浮かぶように佇んでいるという。

朽ちかけた展望台から灯台を眺めていると、不意に彼らが現れ、静かにこちらを見つめてくるのだという証言がある。

さらに、灯台の跡地をのぞき込むと、誰もいないはずの内部に「手をゆっくりと招く影」が現れるとも言われる。

この影は、深夜になると灯台の縁から身を乗り出すように出現し、訪れた者を静かに招き寄せる。

海風に混じって「来て…」というかすかな声が聞こえたという体験も複数ある。

また、旧俎礁標の展望台に立って景色を見ていると、背後に人の気配を感じることがあるという。

振り返っても誰もおらず、ただ風にそよぐ草木の音だけが響く。これは「見送る霊」ではないかという説がある。

最後に、旧俎礁標へ向かう磯の上を歩いていると、確かに足音がついてくると証言する者がいる。

振り返っても誰もおらず、波の音すら吸い込まれるような静寂の中に、足音だけが規則正しく響くのだという。


旧俎礁標の心霊体験談

2020年初春、実際にこの場所を訪れようとした人物の体験がある。

灯台へ向かう道は封鎖されていたため、海岸側から岩場を伝って接近したという。

満潮ではなかったが、海の濡れた岩を慎重に渡り、ようやく灯台を視界に収めたその瞬間、背後から冷たい風が吹きつけ、突然「手を掴まれた」ような感覚に襲われたと語る。

同行者はおらず、周囲にも誰の姿もなかった。

急いでその場を離れたが、途中、磯の岩に濡れた子供の足跡のようなものが点々と続いていたという。

もちろん、そこには子供などいなかった。


旧俎礁標の心霊考察

旧俎礁標が心霊の噂に包まれている理由には、いくつかの背景が考えられる。

まず、墓地の真下という立地が、霊的な存在を呼び込みやすい環境であることは想像に難くない。

死者を見送る場所と、航路を照らす光。

それが交差する地点において、「あちら側」と「こちら側」の境界が曖昧になる瞬間があるのかもしれない。

また、旧俎礁標の構造やその変遷も、時間に取り残された異形の建築物としての異質さを際立たせている。

過去の海難事故や灯台守の記録が明確に残っていない点も、かえって闇の深さを感じさせる。

現地の非公開性と、崖や磯という閉ざされた空間も、心理的な不安や幻視を助長する要素である。

そして「和服の子供霊」が5体という、特定された数の霊体の存在は、単なる風評ではなく、過去に何かしらの出来事があったことを示唆している。

旧俎礁標は、忘れ去られた海の標であると同時に、記録に残らぬ声なき者たちの記憶を灯し続けているのかもしれない。


旧俎礁標の地図

関連記事

この記事へのコメントはありません。

心霊スポット登録数

3249

カテゴリー
最近の記事
  1. 仁保斎場のウワサの心霊話
  2. 旧俎礁標のウワサの心霊話
  3. 国立山口徳地青少年自然の家のウワサの心霊話
  4. 茶屋池のウワサの心霊話
  5. 土井ヶ浜のウワサの心霊話
【管理人】狐憑きのたる

全国のウワサの心霊スポットを調査し、その魅力と恐怖を皆さんにお届けしています。