一宮市にあるとされる「ゴゼガ谷の築池」には、異界へ迷い込んだという不可解な体験談が残されている。今回は、ゴゼガ谷の築池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ゴゼガ谷の築池とは?

ゴゼガ谷の築池とは、一宮市内の高速道路沿いに位置する小規模なため池で、古くから農業用水を確保するために造られた人工の池である。
築池(つくいけ)とは、本来、稲作のために水を蓄える目的で造成された「ため池」の一種であり、雨の少ない地域では生命線とも言える存在であった。
古くは大正期以前に築造されたものも多く、農村の発展を支えた重要な施設である。
現在は雑木林に囲まれ、昼でも薄暗く、人気のないその静けさが、どこか人を寄せつけない不気味さを漂わせている。
ゴゼガ谷の築池の心霊現象
ゴゼガ谷の築池の心霊現象は、
- 池に近づくと突然「頭が痛い」と訴える者がいる
- 池へ向かう途中、道が分からなくなる
- 水辺に女性の霊が立っており、「ここは危険だから近づいたらいけない」と告げる
- 一定時間が経過したはずなのに、時計の時間がほとんど進んでいない
である。以下、これらの怪異について記述する。
ある男性が、友人と共にゴゼガ谷の築池を訪れた際のことである。
高速道路沿いにあるその池に向かう途中、友人が突然「頭が痛い」「ここヤバイ」と言い出した。
その友人は、前日に同じ道を通って池に行った際、異様な体験をしたという。
午後5時頃、慣れ親しんだ道を歩いていたにもかかわらず、いつの間にか方向感覚を失い、車も人影も消えた。
あたりは異様に静まり返り、時間の感覚が狂っていくのを感じたという。
やがて視界の先に、水面が鈍く光る池が現れた。水深は10メートルはありそうで、まるで闇をたたえたような静けさだった。
その岸辺に、白い衣をまとった女性が立っていた。
唇が動いていたが、声はほとんど聞こえず、ただ最後に「ここは危険だから、近づいたらいけない」という言葉だけがはっきりと耳に届いた。
次の瞬間、視界が白い光に包まれ、気づけば最初に迷い込んだ場所に立っていた。
時計を見ると、体感では一時間以上経っていたはずが、わずか五分しか経っていなかったという。
ゴゼガ谷の築池の心霊体験談
池の近くを訪れた人々の中には、同様に「頭痛」や「強い違和感」を訴える者が少なくない。
ある者は、池の周囲で写真を撮ろうとした瞬間にカメラが故障し、データがすべて消えたという。
また、夜間に訪れた人の中には、池の水面から「誰かに見られている」ような視線を感じたという証言もある。
池そのものは静まり返っているにもかかわらず、草むらの奥で何かが動くような音がするのだ。
一見ただのため池に見えるこの場所だが、その静けさの裏には、異界と現実の境界が薄くなっているような、不可思議な気配が漂っている。
ゴゼガ谷の築池の心霊考察
この池にまつわる現象は、いわゆる「異界トンネル」や「時空の歪み」に関する事例に類似している。
実際、体感時間と現実時間のズレ、帰還後の位置の不一致などは、古来より神隠しやミサキ道などに関連づけられて語られてきた。
また、一宮周辺は古くから「大川筋のミサキ」が多く存在すると伝わり、悪霊亡魂の災を鎮めるための祠や供養碑が点在していた。
ゴゼガ谷もその一帯に含まれると考えられており、何らかの霊的結界が今も残っている可能性がある。
池の女性霊が「ここは危険」と警告したのは、そこが彼女自身の安息の場であり、外部の人間が足を踏み入れてはならない“境”だったのかもしれない。
一見穏やかな水面に見えるが、その下には、かつて封じられた何かが眠っている――ゴゼガ谷の築池とは、まさに“異界の入口”と呼ぶにふさわしい場所である。







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