高知市の宇津野トンネル近く、海側の旧道にある孕隧道には、奇妙な噂と不気味な体験が語り継がれている。今回は、孕隧道(宇津野トンネル海側の旧道)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
孕隧道(宇津野トンネル海側の旧道)とは?
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孕隧道(はらみずいどう)は、高知市の宇津野トンネルの海側に位置する旧道である。
正式名称は「潮江9号線1号トンネル」とされているが、地元では古くから「孕隧道」と呼ばれてきた。
この隧道は、昭和初期に掘られたと推定される短いトンネルで、内部はコンクリートの吹付け補強が施されている。
かつては「宇津野越」と呼ばれる峠道が主要な交通路であったが、道路整備のたびにルートが海岸沿いへと移り変わり、孕隧道もその一つとして利用された時期があった。
高知市内側は工場が立ち並ぶ港湾地帯であり、かつては上空に索道(貨物運搬用ロープウェイ)が通っていたという。
今ではその痕跡も消え、荒れたコンクリ壁と廃屋が残るのみである。
太平洋側に抜けると、かつての海景は高い防波堤に隠され、海の存在すら感じにくい。
しかし、風や湿気に混じって漂う潮の匂いが、この地の“境界性”を今も物語っている。
孕隧道(宇津野トンネル海側の旧道)の心霊現象
孕隧道(宇津野トンネル海側の旧道)の心霊現象は、
- 海の上に人が立っているのを見た
である。以下、これらの怪異について記述する。
この地域の住民や通行者の間では、孕隧道の桟橋側──つまり海に近い方へ進むほど、強い不吉さを感じるといわれている。
トンネルの中ほどに差しかかると、そこを境にして急に人家が途絶え、静まり返った空気に包まれる。
風の音すら鈍く、まるで音そのものが吸い込まれていくようである。
周辺には、かつて保健所の施設があり、捨て犬や猫を処分していたという話が残っている。
そのためか、夜になると、トンネルの外で猫の鳴き声が響くことがあり、しかしその声の主を見た者はいないという。
また、海沿いを歩いていた人が「海の上に人影が立っていた」と証言したことがある。
波打ち際ではなく、明らかに海面の上──その人影は動かず、ただ沖を見つめていた。
次の瞬間には霧のように掻き消えたという。
一部では、この現象を「孕の立ち影」と呼んでいるとかいないとか。
孕隧道(宇津野トンネル海側の旧道)の心霊体験談
夜、釣り帰りにこの旧道を通り抜けたという男性の証言がある。
トンネルの中に入ると、微かに潮の匂いとともに、耳鳴りのような低い音が聞こえ始めた。
エンジン音でも風でもない。
どこかで人が話しているようにも思えたが、言葉は判別できなかった。
やがて出口の光が見えた瞬間、フロントガラスの向こう、海の上にぼんやりとした影が立っていた。
人の形をしていたが、足元は波に沈んでおらず、まるで水の上に浮かんでいたという。
男性は恐怖のあまり急発進し、後ろを振り返ることができなかった。
その後、同行していた友人が一言、「いまの、見たか?」とだけ呟いたという。
孕隧道(宇津野トンネル海側の旧道)の心霊考察
孕隧道の周辺は、地形的にも歴史的にも“異界との境”のような性質を帯びている。
白鳳期の大津波で地形が変わり、「孕」という地名そのものが“海が陸を孕んだ場所”を意味するとされる。
つまり、海と陸、人と霊の境が曖昧になりやすい土地である。
「海の上に人が立つ」という現象は、古くから各地の海辺で語られる“亡者の影”に似ている。
この地に沈んだ命、あるいは処分された動物たちの魂が、波間に映る人影として現れるのかもしれない。
孕隧道は、日中でもどこか薄暗く、時間の流れが停滞しているような感覚に包まれる。
そして夜になると、その停滞が“何か”を呼び戻すのかもしれない。
ここを通る者は、ただの旧道と侮らず、静かに、そして慎重に進むべきである。
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