広島市西区と安佐南区の境に位置する畑峠は、裏己斐峠とも呼ばれ、過去に陰惨な事件が幾度となく発生してきた場所である。そのため現在も、事件の被害者や得体の知れぬ存在が彷徨う心霊スポットとして恐れられている。今回は、畑峠にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
畑峠とは?

畑峠(はたたお)は、広島県広島市の西区己斐町・己斐上5丁目と安佐南区沼田町大塚の境界に位置する峠である。
中国自然歩道の矢口・極楽寺ルート上にあり、峠の下には広島高速4号線の西風トンネルが通っている。
また畑峠は「裏己斐峠」とも呼ばれ、古くから人々の間で忌み地として噂される場所である。
畑峠の心霊現象
畑峠の心霊現象は、
- 峠道に若い女性の霊が立つ
- 車の窓に血塗れの顔が映る
- 夜中に歩くと誰もいないはずの背後から足音が追ってくる
- 無言のまま後部座席に女が座っている
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名なのは、峠道の脇にぼんやりと佇む若い女性の霊である。
白い服をまとい髪を長く垂らしているが、近づくにつれてその顔は血の気を失い、両目だけが異様に黒く沈んで見えるという。
また、夜の峠を車で走り抜けると、助手席や後部座席の窓にいつの間にか血に濡れた顔が映り込む。
窓を開けても外には誰もおらず、ただ耳元で湿った声が囁くという体験も報告されている。
さらに、徒歩でこの道を越えようとした者の中には、後ろから何度も足音が迫ってくるのを感じたという証言がある。
振り向いても当然そこには誰もいない。だが歩みを止めると、その足音もピタリと止まるというのだ。
あるいは深夜にタクシーで峠を越えた際、何の気なしにルームミラーを覗くと、知らない女が無言で後部座席に座っていたという話もある。
次に振り返ったときには、もう誰もいなかった。
畑峠の心霊体験談
ある若者のグループが肝試し半分に畑峠へ向かった夜、車中で妙な冷気を感じていたという。
途中、峠道に差し掛かると突然エンジンが止まり、ヘッドライトまで消え失せた。
車内に重苦しい沈黙が流れる中、友人の一人が震える声で「…窓の外に誰か立ってる」と告げた。
恐怖で誰も確認しようとしなかったが、次の瞬間、車体がドン、と大きく揺れた。
ライトが復旧したとき、そこには何もいなかったが、ドアの外側には無数の手形が生々しく残っていたという。
畑峠の心霊考察
畑峠周辺では、過去に警官の拳銃自殺、女子中学生の殺害と死体遺棄事件、タクシー運転手による連続殺人など、陰惨な事件が幾度となく起きている。
これら事件の無念が、形を変えて今もこの峠に漂い続けているのかもしれない。
「己斐峠よりも危険」と囁かれる所以は、単なる噂話では片付けられない奇怪な体験談が後を絶たないことにある。
畑峠を訪れる者は、二度とその夜の記憶を消し去れない恐怖を持ち帰ることになるだろう。
コメント