平家谷のウワサの心霊話

愛媛県八幡浜市保内町に存在する平家谷には、壇ノ浦で敗れ落ちのびた平家一族の怨念が渦巻いているという。今回は、平家谷にまつわるウワサの心霊話を紹介する。


平家谷とは?

平家谷の外観

平家谷は、文治元年(1185)、壇ノ浦の戦いで敗れた平有盛系一族八人が瀬戸内海を漂流し、逃げ込んだと伝わる谷である。

当時は昼夜の区別すらつかないほどの深い山林に覆われ、外界から隔絶された隠れ里であった。

落ち延びた一族はこの地で百姓に身をやつし、見張所を築いては常に敵の襲撃に備え、下方のハザマ谷を開墾して暮らしていた。

しかし、三年目のある日、見張りが群れ飛ぶ白鷺を源氏の白旗と見誤り、敵襲を知らせたことから運命が大きく変わった。

逃げ場を失った一同は、捕らえられるよりはと六人が切腹し、二人のみが生き残り一族の血を繋いだとされる。

六人が自害した田には大正期まで石むろが残されていたと伝わる。

この地では古くから霊を慰める祭りが行われていたが、今は失われ、伝説だけが人々の記憶に残っている。


平家谷の心霊現象

平家谷の心霊現象は、

  • 切腹した平家武者の亡霊が山中をさまよう
  • そうめん流しの会場周辺で甲冑の音が響く

である。以下、これらの怪異について記述する。

切腹の場となったハザマ谷では、夜更けに血の匂いが漂うと語られている。

暗闇の中で耳を澄ませば、刀を腹に突き立てる呻き声が響くという証言もある。

また、現在観光客で賑わうそうめん流しの施設では、甲冑の金具が擦れ合うような異様な音が耳元で聞こえたという報告がある。

楽しげな人々の笑い声の中に、確かに混ざる鎧武者の足音。

それを感じた者は、背後から冷たい視線を感じて振り返るが、そこには誰もいない。

さらに、谷を夜に車で走ると、闇に溶けるようにして白い布がはためく姿を見たという者がいるという。

近づくとそれは跡形もなく消え、ただ強烈な悪寒だけを残す。

古来、女人禁制とされた平家谷の伝承は、今もなお女性に災いを及ぼすという話も。


平家谷の心霊体験談

ある男性は若い頃、瞽女トンネルがまだ存在しなかった時代に、松山からの帰路で深夜に平家谷を通った。

街灯のない真っ暗な山道に差しかかると、突然フロントガラスの先に武者のような影が立ちはだかった。

慌ててブレーキを踏んだが、影は霧のように掻き消え、代わりに車内へ冷気が流れ込んできた。

同行していた仲間は誰一人声を出せず、ただ恐怖に震えたという。


平家谷の心霊考察

平家谷に伝わる怪異は、壇ノ浦で果てた平家一族の怨念が今もなお消えぬ証であると考えられる。

無念の切腹によって命を絶たれた六人の武士、その血と涙が谷の土に染み込み、現代に至るまで異形の気配を放ち続けているのだろう。

観光地として整備された現在も、明るい賑わいの裏に歴史の闇が潜んでいる。

そうめん流しや川遊びの裏で、平家の亡霊たちはなおも鎧をまとい、失われた旗を探しさまよい続けているのかもしれない。

平家谷は、美しい自然の姿の奥に、決して拭えぬ怨霊の気配を抱え込んだ場所なのである。


平家谷の地図

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【管理人】狐憑きのたる

全国のウワサの心霊スポットを調査し、その魅力と恐怖を皆さんにお届けしています。