愛媛県伊予市にある犬寄トンネルは、交通の難所を克服するために建設された全長749メートルのトンネルである。しかし利便性の影には、数多くの不気味な噂が存在する。今回は、犬寄トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
犬寄トンネルとは?

犬寄トンネルは愛媛県伊予市と旧中山町の境に位置する犬寄峠を貫通する全長749メートルのトンネルである。
昭和44年に開通し、当時の国道56号における交通の難所を克服するために建設された。
犬寄峠は標高約300メートル、かつては山犬が旅人を襲ったと伝えられる峠であり、その名もそこに由来すると言われている。
狭い旧道は急カーブと急勾配が連続する危険な道であり、数多の事故や遭難を生んできた。
難工事を経て完成した犬寄トンネルは利便性を飛躍的に高めたが、その一方で不気味な噂が絶えず、現在では愛媛県有数の心霊スポットとして知られる存在となっている。
犬寄トンネルの心霊現象
犬寄トンネルの心霊現象は、
- 交通事故で亡くなった者の幽霊がトンネル内をさまよっている
- 車のライトに照らされた壁に人の顔が浮かび上がる
- トンネル内部で正体不明の人影が目撃される
- 近くの電話ボックスで白い服を着た女の霊が現れる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、最も有名な噂は「交通事故死者の霊」である。
トンネル内を走行していると、道端に人影が立っているのを見かけることがある。
しかし近づくと忽然と姿を消し、確かにそこに立っていたはずなのに痕跡は残らないという。
また、車のライトがトンネルの壁を照らすと、時折「人の顔」のような影が浮かび上がるという証言がある。
その顔は歪み、まるでこちらを睨みつけているかのようで、目撃者の多くが強烈な悪寒を覚えると語る。
さらに、トンネル奥には性別も年齢も定かではない「正体不明の人影」が出没する。
近づくと霞のように揺らぎ、やがて視界から消えるが、その場に残る異様な気配は消えることがない。
そして、トンネル近くの電話ボックスには「白い服の女」が現れるという。
深夜、電話をかけようとした者がガラス越しに目を向けると、そこに白装束の女が立っている。
彼女と目が合った瞬間、フッと姿を消すが、一部の者は彼女が口を動かして何かを訴えていたと証言している。
だが、その言葉を聞いた者は不幸に見舞われるという噂もある。
犬寄トンネルの心霊体験談
ある地元の若者が友人と夜中に犬寄トンネルを訪れた。車で進んでいると、トンネル奥に白い影が立っているのが見えた。
人と思い減速したが、その姿はライトが照らした瞬間に掻き消えるように消えた。
車内には異様な冷気が流れ込み、後部座席に誰かが座ったような重みを感じたという。
恐怖のあまり振り返ることはできなかったが、トンネルを抜けた瞬間、その圧迫感は嘘のように消えたと語られている。
犬寄トンネルの心霊考察
犬寄トンネルの怪異は、過去の交通事故で命を落とした者たちの無念が形を変えて現れるものと考えられる。
急峻な峠道の歴史、難工事の痕跡、そして事故の噂が重なり、この地全体に死と恐怖の記憶が刻み込まれているのである。
白い服の女の霊については、電話ボックスという閉ざされた空間に縛られ、繰り返し現れては消えるという特性から、強い執念を持った地縛霊である可能性が高い。
犬寄峠は古来より危険と隣り合わせの場所であり、山犬の伝承さえも「この地における命の危うさ」を象徴していた。
現代においてもその呪縛は解かれず、犬寄トンネルは恐怖の象徴として人々に畏怖され続けているのかもしれない。
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