岩国市と和木町にまたがる岩国港には、物流拠点としての顔の裏に、奇妙な心霊のウワサが存在している。今回は、岩国港にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
岩国港とは?

岩国港(いわくにこう)は、山口県岩国市および玖珂郡和木町にまたがって位置する重要港湾である。
2010年8月には国の重点港湾に選定され、物流拠点としての地位を高めてきた。
歴史は古く、1600年、岩国藩が今津川の河口に水軍のための物揚場を築いたのが始まりとされる。
現在では石油コンビナートや化学工場、外国貿易コンテナなどの取り扱いを中心に、瀬戸内海工業地帯の一翼を担っている。
大型船の入港に適した水深、静かな港内、陸海空のアクセスの良さから、極めて利便性の高い港である。
しかし、こうした合理的な利点の裏に、得体の知れぬ影が潜んでいるとも言われている。
岩国港の心霊現象
岩国港の心霊現象は、
- 深夜、誰もいないはずの女子トイレで響くハイヒールの足音
- トイレの個室前で鳴る「トントン」という不気味なノック音
- 空いている個室が他にもあるにもかかわらず、執拗に“その場所”の前を行き来する謎の存在
- 扉を開けたときには誰もいない、にもかかわらず音だけが確かに存在していた痕跡
である。以下、これらの怪異について記述する。
もっとも多くの心霊現象が語られているのは、岩国港の正面左側に位置する女子トイレである。
特に夜間、この場所に一人で入る者が奇怪な体験をするという。
ある証言によれば、トイレにひとりで入った女性が、個室内で用を足している最中に、外から「コツ、コツ」とハイヒールの音が近づいてくるのを耳にしたという。
その足音は、あろうことか自分が入っている個室の前でピタリと止まり、間を置かずに「トントン」とノックしてきた。
不審に思いながらも、礼儀として「トントン」と返すと、再び「コツ、コツ」とハイヒールの音が響き出し、まるで個室の外をぐるぐると周っているかのような気配を感じたという。
他の個室は空いていたにもかかわらず、その「誰か」は執拗に彼女の前を離れようとしなかった。
やがて、足音が消え、静寂が戻った。恐る恐る扉を開けて外に出てみると、そこには誰の姿もなかった。
トイレ内にも、外にも、音の主と思しき人物は存在していなかったのである。
このような体験は一件にとどまらず、似たような話が複数存在している。
夜の岩国港における女子トイレでは、何かが人を見つめ、待ち構えているのかもしれない。
岩国港の心霊体験談
岩国港にまつわる体験談は、女子トイレでの一件に集中している。
とくに夜間、港湾作業員や近隣の住民が人の気配を感じたという証言も少なくない。
ある女性は、夜の帰り道、トイレを借りようとしたが、外に立った瞬間、強い視線を感じて恐ろしくなり、中に入るのをやめたという。
「何かがこっちを見ている」と直感的に察したのだ。物音ひとつない静寂のなかに、確かに“存在”の気配があったと語る。
岩国港の心霊考察
なぜ岩国港、特に女子トイレでこのような現象が繰り返されるのか。
単なる偶然や錯覚にしては、類似した体験談が複数存在する点が不気味である。
岩国港は、物流と工業の中心として発展してきたが、その歴史の裏には、労働災害や水難事故など、語られざる死も多かったはずである。
ハイヒールの音という女性的な要素も、あるいは過去にこの場所で命を落とした者の無念を示しているのかもしれない。
また、トイレという「境界性の高い空間」に現れるという点にも注目すべきである。
生と死、日常と異界が交錯するその瞬間、何かが姿を現すのかもしれない。
いずれにせよ、岩国港に夜ひとりで近づくことは、避けたほうが無難である。
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