広島市佐伯区にある梶毛ダムには、少女の霊の目撃や、女性のすすり泣く声、水面から引きずり込まれそうになるなど、数々の不気味な心霊現象が報告されている。今回は、梶毛ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
梶毛ダムとは?

梶毛ダム(かじけダム)は、広島県広島市佐伯区五日市町石内に位置し、二級河川・八幡川水系石内川支川梶毛川に築かれた重力式コンクリートダムである。
堤高49.0m、堤長225.6mと規模は中程度ながら、広島県が管理する重要な治水施設であり、洪水調節の目的で2008年(平成20年)に完成した。
場所は西風新都の近郊にあり、周辺には紅葉が映える自然公園もあるが、対岸と道が繋がっておらず、またダムへ向かう道路は一部細く、昼間でも陰鬱な空気が漂っている。
住宅街からそう遠くないにもかかわらず、寂れた印象が強く、人影がまばらなため余計に不気味さが際立つダムである。
梶毛ダムの心霊現象
梶毛ダムの心霊現象は、
- 水面や堤防付近に少女の霊が佇むのが目撃される
- 夜間、このダムから女性のすすり泣く声が聞こえる
- かつて鬼が出ると恐れられた場所であり、親が子を戒めるためにこのダムへ沈めるという戦慄の事件があった
- かつてこの地には犬鳴ダムのように集落が存在し、今もなおその怨念が彷徨っていると噂される
- 散策中に誰かに手を掴まれ、引きずり込まれそうになった者がいる
である。これらは単なる作り話とも言われるが、奇妙な一致や現地での異常体験が後を絶たないことから、単なる噂として片付けるのは早計かもしれない。
以下、これらの怪異について記述する。
まず少女の霊は、ダムの中腹にある監視歩道付近や、水面に近い堰堤の欄干に現れるという。
長い髪を垂らし白いワンピースを着たその姿は、目撃した者の話によればはっきりと形を成し、こちらをじっと見つめてくるというのである。
また夜間には、堤防を歩いていると突然背後から「ヒッ、ヒッ」と短く詰まった女性の泣き声が耳元で響くことがある。
振り返ってもそこには誰もおらず、声だけが木霊のようにいつまでも残り、耳鳴りが止まらなくなるという。
そしてこの場所には昔から「鬼が出る」と恐れられてきた因縁がある。
昨年には子を戒めるために親がこのダムへ沈めたという報道もあり、その場で救出されたものの、幼い子の心に刻まれた恐怖と怨嗟は計り知れない。
こうした血塗られた出来事が、新たな怪異を呼び寄せているのではないかとも囁かれている。
さらに興味深いのは、梶毛ダムの底には、犬鳴ダムのように水没した小さな集落があったという噂である。
調査資料には確たる記録は残されていないが、地元古老の口伝には「梶毛の村」が語り継がれており、そこに住んだ人々の念が未だ水底に沈殿しているとも言われる。
こうした背景のためか、堤防を散歩していた人が突然何者かに手を掴まれ、水面へ引き込まれそうになった話もある。
振り払って逃げ帰ったが、その腕にはしばらく指の跡のような青黒い痣が残っていたという。
梶毛ダムの心霊体験談
梶毛ダムを訪れた者の中には、はっきりと女性の声を聞いたと証言する者が複数いる。
静寂の中で「ねぇ、どこへいくの……」と話しかけるような声が頭上から響き渡り、慌てて周囲を探したが誰もおらず、恐怖でその場から一目散に逃げ出したという。
また別の人物は、夜間に堤防を歩いていたところ、ダムの欄干を「ガンッ!ガンッ!」と誰かが必死に叩く音を聞いた。
近寄って確認してもそこには誰もおらず、音はまるで助けを求めるように響き続け、やがて突然止んだという。
梶毛ダムの心霊考察
梶毛ダムの心霊現象は、その土地が持つ歴史や不幸な事件、そしてかつて存在したとされる村の怨念が複雑に絡み合って発現しているように思える。
自然の静けさが深いだけに、人の心は容易に暗い想念に侵食されやすい。
そこへ本当に霊的な存在が加わることで、誰かの弱い心に取り憑き、音や声として現れるのかもしれない。
少女の霊や水底からの呼び声は、そうした澱んだ念が姿を成したものだとも考えられる。
梶毛ダムは今もなお都市の治水施設として静かに佇んでいるが、その奥底には、見えざる存在が確かに息を潜めている気配がある。
もし訪れる機会があれば、決して一人で近づくことはお勧めしない。
何かに引かれるように水辺へと誘われたなら、二度と戻れなくなるかもしれないのだから。
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