徳島県吉野川市の上桜公園は、かつて大正池を中心に整備された自然公園であるが、現在は荒れ果て人影も少ない。その静けさの中で、夜になると赤子の泣き声や正体不明の霊が現れるなどの怪異が囁かれているという。今回は、上桜公園にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
上桜公園とは?

上桜公園は、徳島県最大級の歴史あるため池「大正池」の周辺を整備した自然公園である。
1851年(嘉永4年)に徳島藩の勧農奉行・伊沢速蔵によって築かれ、1915年(大正4年)に拡張された大正池を中心に、園内にはかつて遊具や水車小屋、句碑が点在していた。
「文化の径」と名付けられた遊歩道や野鳥観察小屋も設置され、かつては家族連れや散策者で賑わっていた。
しかし、現在では遊具や碑は姿を消し、散策路は草に覆われ荒れ果てている。
昼間でも人影はまばらで、夕刻からは一層静まり返り、ひと気のなさが際立つ場所となっている。
上桜公園の心霊現象
上桜公園の心霊現象は、
- 正体不明の霊が現れる
- 夜中に赤子の泣き声が聞こえる
- 池周辺で人の気配や囁き声がする
である。以下、これらの怪異について記述する。
かつてこの地では、池のほとりで赤子が遺棄されたという噂が残っている。
夜になると、その赤子の泣き声が水面から響いてくるといい、その声を耳にした者は強烈な寒気と吐き気に襲われるという。
正体不明の霊の目撃談も多く、特に桟橋付近で白い着物を着た女性の影を見たという証言が複数存在する。
その影は、近づくと水面にゆらめきながら溶けるように消え、次の瞬間、背後から濡れた髪が首筋を撫でる感触があったと語られている。
また、池の周囲を歩いていると、足音が一歩遅れてついてくることがあり、立ち止まってもその音は止まらず、やがて耳元で低い囁き声が聞こえるという。
上桜公園の心霊体験談
ある地元の男性が、夜釣りの帰り道に桟橋を渡っていたときのこと。
背後から水面を叩く音が響き、振り返ると、池の中央付近に小さな影が浮かんでいた。
懐中電灯で照らすと、それは水に濡れた赤子の姿であり、虚ろな目でじっとこちらを見つめていたという。
男性は恐怖で足が動かず、その場に立ち尽くしていると、赤子はゆっくりと沈み、完全に姿を消した。
慌てて公園を離れた彼は、その夜、高熱と原因不明の悪寒に三日間苦しんだと語る。
上桜公園の心霊考察
上桜公園にまつわる怪異の多くは、水にまつわる霊的現象である。
赤子遺棄の噂が事実であるかは不明だが、池という閉ざされた水域は古来より霊魂を呼び寄せやすいとされる。
特に人が少なく荒廃した現在の上桜公園は、生者の気配が希薄であり、異界との境界が薄くなっている可能性がある。
夜間に訪れれば、そこは単なる公園ではなく、声なき者たちのささやきと、冷たい視線が渦巻く“水の霊域”と化すのである。
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