北九州市と田川郡の境にひっそりと眠る「金辺隧道(旧金辺トンネル)」。地元では「お化けトンネル」と恐れられており、白い服の女性の霊が現れるという不気味なウワサが絶えない。今回は、金辺隧道(旧金辺トンネル)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
金辺隧道(旧金辺トンネル)とは?
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金辺隧道(きべずいどう)は、福岡県北九州市小倉南区と田川郡香春町を結ぶ旧国道322号線上に存在する煉瓦造りの隧道である。
1917年(大正6年)に竣工され、全長は143メートル、幅員5.4メートル。
昭和42年(1967年)に新金辺トンネルの開通とともにその役目を終え、現在では完全に使用されておらず、実質的に廃道と化している。
北九州市側には通行禁止の表示はないものの、香春町側には封鎖のバリケードが設置されており、内部は舗装も荒れ、至る所に水が溜まり、足元もぬかるんでいて危険である。
トンネル内外の劣化の進行は激しく、空気は湿り気を帯び、昼間でさえ薄暗く、不気味な静寂が支配している。
この金辺隧道は、地元では「お化けトンネル」とも呼ばれ、かつてこの地で繰り広げられた古戦場の記憶とともに、数々の不可解な現象が語られている。
金辺隧道(旧金辺トンネル)の心霊現象
金辺隧道(旧金辺トンネル)の心霊現象は、
- 白い服を着た女性の霊が現れる
- トンネル内部で人の気配がする
- 足音やすすり泣きの声が聞こえる
- 車やバイクのエンジンが不調になる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、もっとも有名な現象は「白い服を着た女性の霊」である。
目撃例の多くが夜間に集中しており、トンネルの中央付近にぼんやりと立ち尽くす姿が見られたという。
振り返ると忽然と姿を消している、という証言も少なくない。
次に、人の気配がするという報告である。
深夜、封鎖されたトンネルの外に立っているだけでも、何者かに見つめられているような視線を感じる者が後を絶たない。
内部へ足を踏み入れた者は、明らかに誰もいないはずの空間から足音が近づいてくるという異様な体験をしている。
さらに、すすり泣きのような声が響くことがあるという。
特に梅雨の湿った空気がトンネルに満ちる時期、声はより鮮明になるとのことだ。声の主が誰なのか、何を訴えているのかは、未だ謎に包まれている。
最後に、トンネル付近での車両トラブルも報告されている。
エンジンの不調やバッテリー切れ、急なパンクなど、整備不良では説明がつかないような故障が多発している。
金辺隧道(旧金辺トンネル)の心霊体験談
ある男性は、深夜に好奇心から友人と共に金辺隧道を訪れた。バリケードを越え、内部へと入り進んでいくと、突然、真後ろから「カツン、カツン…」という足音が聞こえた。
誰もいないはずだと振り向くが、そこには誰の姿もない。足元の水たまりに映るものが気になって下を見ると、背後に“白い影”が立っていたという。
恐怖のあまり声を上げることもできず、友人と慌てて逃げ出した。
その後、車に戻るとエンジンがかからず、結局その日はレッカーを呼ぶ羽目になったという。
金辺隧道(旧金辺トンネル)の心霊考察
金辺隧道に現れる霊は何者なのか。
白い服の女性の正体は不明であるが、かつてこの地が幕末の古戦場であったことは無関係ではないだろう。
近くには「島村志津摩の碑」が存在し、小倉藩筆頭家老・島村志津摩が長州藩と戦い、この峠を最後の砦として戦死したとされている。
金辺隧道は、そのような血の記憶が染みついた場所に築かれた。
地中に眠る無念の想いや、時代の波に翻弄された人々の霊が、今なお彷徨っているのかもしれない。
また、トンネル内部の閉鎖性と湿気、そして昼夜を問わず漂う圧迫感が、訪れる者の心理に影響を及ぼし、通常では感じ得ない“何か”を感知させている可能性もある。
だが、その現象が幻覚や心理的錯覚によるものと断定するには、あまりにも多くの体験者が、口を揃えて“白い霊”の存在を語っている。
金辺隧道が「お化けトンネル」として語り継がれる理由は、ただのウワサだけでは片づけられないのである。
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