久米田池のウワサの心霊話

大阪府岸和田市にある久米田池には、古くから奇妙な噂が絶えない。春の桜の季節には多くの花見客で賑わう一方、夜になるとその静寂の中に“何か”が潜んでいるという。今回は、久米田池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。


久米田池とは?

久米田池の外観

久米田池(くめだいけ)は、大阪府岸和田市に位置する府内最大のため池である。

池尻町と岡山町にまたがり、満水時の面積は約45.6ヘクタール、周囲はおよそ2.6kmに及ぶ。

この池は奈良時代の初期、神亀2年(725年)から天平10年(738年)にかけて、高僧・行基が民を率いて築いたと伝えられている。

もともと水に乏しかった土地を潤すための灌漑池として造られたもので、以来千年以上にわたって地域の生活を支えてきた。

また、池の北東には行基が建立したとされる久米田寺が隣接しており、この地一帯は古くから水神信仰の根付いた地域として知られている。

乙御前(おとごぜん)という蛇身の女の伝承や、水神を祀る民話が語られ、「池の主」が今も眠っているという噂さえある。

昼間は穏やかな景観を見せる久米田池であるが、夜になるとその“静けさ”が異様な緊張を帯びるのだ。


久米田池の心霊現象

久米田池の心霊現象は、

  • 夜に複数の人影に追いかけられる
  • 公衆トイレに女性の霊が潜む
  • 「アイシテル」と囁く声が聞こえる
  • タクシーを止める老婆の霊が現れる

である。以下、これらの怪異について記述する。

複数の霊に追いかけられる

春の夜、花見客が去った後の久米田池を歩くと、背後から“複数の足音”が聞こえてくることがあるという。

ザッ、ザッ、ザッ──と、地面を擦るような乾いた足音。

振り返っても誰もいないが、再び歩き出すと足音はより近くに響き始める。

地元の若者の間では「春の夜の久米田池で霊に追われる」と言われており、特に桜の咲く季節は人影のような黒い影が複数見えたという証言が多い。

その姿ははっきりとは見えず、池の闇に溶け込むように消えていくという。

夜の久米田池を一人で歩く者は少ない。

もし誰もいないはずの道で“後ろに人の気配”を感じたら、それは生きた人間ではないのかもしれない。

トイレに潜む女性の霊と“アイシテル”の声

久米田池の公衆トイレには、女性の霊が潜むと噂されている。

深夜、誰もいないはずの個室から「アイシテル……」と囁く声が聞こえたという報告がある。

ある体験者は、夜遅くに腹痛でトイレに駆け込み、用を足していた時、外からザッザッと足音が近づいてきたという。

息を潜めて待っていると、足音は個室の前で止まり、完全に静まり返った。

恐る恐る扉を開けたが、そこには誰の姿もなかった。

周囲を見渡しても人気はなく、ただ風が生ぬるく流れていただけだったという。

また別の体験では、トイレの鏡に白い影が映り込み、カメラが一斉に誤作動を起こしたという報告もある。

この女性霊の正体については、過去に池で亡くなった人物ではないかと噂されている。

タクシーを止める老婆の怪異

久米田寺の門の右側の坂道では、深夜に老婆がタクシーを止めるという噂がある。

手を挙げて乗車を求める姿を見て、運転手が停車しドアを開けると、そこにはもう誰もいなかったという。

中には、確かにドアの開閉音がしたにもかかわらず、後部座席には誰もおらず、座席がわずかに沈んでいたという証言もある。

この現象は「久米田池の老婆」として知られ、地元では“見た者は不幸に遭う”とまで言われている。


久米田池の心霊体験談

ある男性が中学生の頃、夜遅くまで遊んだ帰りに腹痛を覚え、久米田池の障がい者用トイレに入ったという。

用を足している最中、外から足を擦るような音が近づいてきた。

警察かと思い息を潜めていたが、その足音はドアの前で止まり、やがて何も聞こえなくなった。

不審に思ってドアを開けると、そこには誰もいなかった。

池の周辺を見渡しても人影はなく、夜風の中に自分の鼓動だけが響いていたという。

彼は恐怖のあまり一目散にその場を逃げ出した。

それ以来、夜の久米田池には近づいていないそうである。


久米田池の心霊考察

久米田池が心霊スポットとして語られる背景には、いくつかの要因が考えられる。

まず、古来より水辺は「境界」とされ、現世と異界が交わる場所とされてきた。

乙御前伝説に見られるように、久米田池も水神信仰や蛇神伝承が残る場所であり、霊的な象徴性を帯びている。

また、夜の久米田池は街灯が少なく、水面が完全な“黒”に沈む。

その深い闇が、人の恐怖心を呼び覚ますのかもしれない。

さらに、過去には転落事故や自殺の噂もあり、そうした悲劇が“土地に残る記憶”として語り継がれている可能性もある。

公衆トイレや坂道など、具体的な場所に霊が現れるという証言が多いのは、かつて何かがあった痕跡なのかもしれない。

久米田池は、ただの水辺ではない。

昼は市民の憩いの場、夜は異界への入り口。

その二面性が、今も人々の心に恐怖を植えつけているのである。


久米田池の地図

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