高知県と徳島県の県境にそびえる名峰・三嶺は、その美しい山容とは裏腹に、急変する天候と険しい地形が多くの遭難事故を招いてきた。山頂近くには今も遭難者を悼む石碑が立ち、濃霧の中に消える人影や夜の山小屋に響く足音など、不気味な心霊現象が語り継がれている。今回は、三嶺にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
三嶺とは?

三嶺(みうね/さんれい)は、標高1,894メートルの高知県最高峰であり、日本二百名山および四国百名山に数えられる名峰である。
剣山国定公園の西端に位置し、山頂からは四国山脈の稜線が一望できる。
山頂付近にはコメツツジや高山植物が群生し、四季折々の彩りを見せる。
しかしその美しさの裏側では、幾度となく遭難事故が発生してきた歴史がある。
特に昭和30年代の登山ブーム期には悪天候や急変する気候により、多くの若者が命を落とした。
山頂近くには、今も遭難者を悼む石碑が静かに立ち続けている。
三嶺の心霊現象
三嶺の心霊現象は、
- 登山道や山頂付近で、霧の中から人影が現れては消える
- 夜間の避難小屋で、誰もいないはずの足音や衣擦れ音が聞こえる
- 遭難者を弔う石碑付近で、人のすすり泣きが聞こえる
- 冬季登山の夜明け前、背後から肩を叩かれるが振り返ると誰もいない
である。以下、これらの怪異について記述する。
霧に包まれた山道で現れる人影は、遠目には登山者のように見えるが、近づく前に必ず消えるとされる。
特に石碑の周辺での目撃談が多く、過去に命を落とした登山者が道案内をしているのではないかと囁かれている。
避難小屋では、深夜になると足音が天井付近から響き、壁を爪で引っかくような音が続くという証言もある。
中には、寝袋の中で金縛りに遭い、耳元で誰かが名前を呼ぶ声を聞いたという登山者も存在する。
また、昭和38年4月に命を落とした吉住光義氏の遭難碑付近では、夜間になるとすすり泣きが聞こえ、風もないのに周囲の草木が揺れる現象が報告されている。
冬季には、背後から肩を軽く叩かれる体験談もあり、それが“戻れ”という警告だったのではないかと語られている。
三嶺の心霊体験談
ある登山者は仲間と共に三嶺に泊まり込みを行った。
夜半、山小屋の中で就寝していると、隣の仲間が突然金縛りに遭い、苦しげなうめき声を上げた。
外は月明かりも届かぬ闇に包まれ、耳を澄ますと、はるか下の山道から複数の足音がゆっくりと登ってくるのが聞こえたという。
やがて足音は小屋の外まで迫ったが、扉は開かず、そのまま消えた。
翌朝、外に足跡はなかった。
三嶺の心霊考察
三嶺で語られる心霊現象の多くは、過去の遭難事故と密接に結びついている。
急変する天候、深い霧、そして人里離れた孤立感は、登山者の恐怖心を増幅させる。
これらの心理的要因が幻聴や幻覚を引き起こしている可能性は否定できない。
しかし、石碑付近での泣き声や、実際に肩を叩かれた感覚など、複数の証言が一致する現象もある。
それらは単なる錯覚ではなく、山に残された魂が今も訪れる者に何らかのメッセージを送っているのかもしれない。
三嶺は美しい山であると同時に、死者の記憶が静かに息づく場所である。
登山者は、その景色だけでなく、この山に刻まれた無数の命の物語を背負いながら歩くことになるのだ。
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