みささぎ権現は、平安時代の皇族の霊が祀られた歴史ある場所であり、現在は建物が朽ち果て、御神体も移されてしまった寂しい空間となっている。今回は、みささぎ権現にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
みささぎ権現とは?

愛媛県大洲市の大宝寺参道沿いにひっそりと存在するのが、みささぎ権現である。
もとは平安時代、後白河天皇の勅使が天皇の脳の病の快復を祈願したところ奇跡的に治癒したことから、天皇は妹宮を大宝寺の住職としてこの地に下らせ、寺を勅願寺として再興させたのが始まりとされる。
その後、妹宮が亡くなると、五輪塔と廟が建てられ、陵権現として祀られることとなった。
長い年月を経て建物は朽ち果て、御堂内の御神体や宝物はすでに大宝寺へ移されている。
残された空間は虚ろな静寂に包まれ、訪れる者に得体の知れぬ気配を漂わせている。
みささぎ権現の心霊現象
みささぎ権現の心霊現象は、
- 心霊写真が撮れてしまう
- 頭痛に襲われることがある
- 参拝中に背後から視線を感じる
- 境内に立つと冷気に包まれる
である。以下、これらの怪異について記述する。
みささぎ権現を訪れた者が最も多く口にするのは「写真に何かが写る」という現象である。
特に石碑や廟の前で撮影した際、人の顔のようなものや、白い影が浮かび上がることがあるという。
肉眼では誰もいないにもかかわらず、カメラを通すとそこに「何か」が存在するかのように残ってしまうのである。
また、現地では頭痛や重圧感に襲われる者も少なくない。
特に廟の近くでは頭を締め付けられるような痛みが生じるとされ、これは「頭の病を治す神」として信仰されてきた歴史と無関係ではないように思える。
さらに、境内に一人で立っていると、背後から視線を感じる、衣擦れの音を耳にするなどの報告もある。
朽ちた御堂に残るのは木の軋む音だけのはずだが、不気味な存在感が訪問者を圧迫するのである。
夜に訪れた者の中には、周囲が無風にもかかわらず突然冷気に包まれ、息が白くなったと証言する者もいる。
冷気は一瞬で体を貫き、心臓を握りつぶされるような恐怖感を与えるという。
みささぎ権現の心霊体験談
ある参拝者が昼間に訪れ、廟の前で記念に写真を撮った。
帰宅後、その写真を確認すると、背後の木陰に人影が写り込んでいた。
現地では誰もおらず、自分一人しかいなかったはずなのに、女性のような長い髪の影がこちらを見つめていたのである。
また別の参拝者は、御堂の正面に立った瞬間、強烈な頭痛に襲われ、意識を失いかけたという。
慌ててその場を離れると症状は嘘のように消えたが、以来その人物は二度と近づけなくなった。
みささぎ権現の心霊考察
みささぎ権現は、元来「頭の病を治す神」として崇められた場である。
しかしその信仰の裏には、妹宮の死とともに祀られた霊の強い念が残されていると考えられる。
御堂が朽ち、御神体が失われた今も、その存在はこの地に留まり、参拝者に頭痛や心霊写真という形で干渉しているのだろう。
また、歴史の重みを背負った「祀られた死者」の場所であるがゆえに、時にそれは守護ではなく警告として現れるのではないか。
無防備に足を踏み入れた者は、冷気や視線といった霊的な干渉を受けることになり、そこに宿る力の大きさを思い知らされるのである。
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