山深い集落にひっそりと存在していた、かつての学び舎――三瀬川小学校。この場所には、静かに時を止めたかのような木造校舎とともに、今も消えることのない心霊のウワサが残されているという。今回は、三瀬川小学校にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
三瀬川小学校とは?

三瀬川小学校は、1879年(明治12年)に開校し、1988年(昭和63年)に閉校となった歴史ある木造校舎である。
山口県岩国市(旧・周東町)の山間部、集落の奥深くに位置し、その静けさゆえに見落とされがちな場所にひっそりと建っていた。
閉校後も一時は日本語学校として再利用されていたようだが、やがて放置され、建物は老朽化の一途をたどった。
講堂や教室、図書室といった施設は当時のままに近い形で残り、廊下や壁、手洗い場などには、かつて子どもたちが過ごした記憶が色濃く刻まれていた。
校庭には錆びついた遊具が点在し、創立100周年記念碑と閉校記念碑が並び立っていたが、2023年、ついにその校舎も解体された。
三瀬川小学校の心霊現象
三瀬川小学校の心霊現象は、
- 校舎内で少女の霊が目撃される
- 図書室や講堂に、誰もいないはずの足音が響く
- 教室の黒板に文字が浮かび上がる現象
- ピアノの前に立つ“誰か”の影が目撃される
である。以下、これらの怪異について記述する。
少女の霊が現れるというのは、最も知られたウワサである。
主に講堂付近や廊下で目撃されることが多く、白いワンピース姿で下を向いて立っているという。
声をかけると、音もなく姿を消すらしい。その様子はまるで、居残り学習をしていたまま時が止まったかのようである。
また、講堂や図書室では、明らかに誰もいないはずの時間に「コツ…コツ…」という足音が響くことがある。
実際に足音を追っても誰もいない。廊下には何かを引きずったような黒い跡が、雨の日にだけ浮かび上がるという報告もある。
さらに、教室の黒板に不意に文字が浮かび上がる現象もあるという。
ある訪問者は、「ただいま」と書かれた文字が突然現れ、次の瞬間には消え去ったと証言している。
音のないはずのピアノからは、夜中にぽつりと単音が鳴ることがある。
それに加え、ピアノの前に誰かが立っている“気配”を感じたという者もいる。
教室の窓越しにその姿を見たと語る者は少なくない。
三瀬川小学校の心霊体験談
ある探索者が、夏の夕暮れ時に訪れた際のことである。
草木をかき分けて校門にたどり着き、校舎の中へと足を踏み入れた。
すると講堂の奥から微かに、子どもの歌声のような音が聞こえてきた。
廊下を進むうちに、右手の教室のドアが“ギイ…”と音を立てて開いた。
誰もいないはずの教室の中で、黒板に向かって立つ少女の背中が見えたという。
彼はとっさに声をかけようとしたが、次の瞬間、少女はそのまま黒板の中に吸い込まれるように消えた。
心拍数が跳ね上がり、後ずさる彼の足元に落ちていたのは、何十年も前の卒業アルバムの切れ端だったという。
三瀬川小学校の心霊考察
三瀬川小学校の心霊現象には、過去の記憶や想念が強く残っている印象がある。
長い年月を経て、子どもたちの無邪気な感情と、別れや孤独、忘れ去られた存在への執着が、この場所に“残留思念”として染みついたのではないかと考えられる。
特に講堂やピアノにまつわる話は、学校という空間が“生”と“死”の狭間で記憶を宿す場所となったことを示している。
少女の霊もまた、居残り学習という“日常の延長”の中で、誰にも気づかれぬまま消えていった存在なのかもしれない。
2023年にこの校舎は解体されたが、それによってすべての霊的存在が消え去ったとは限らない。
むしろ“拠り所”を失った彼らが、別の場所へと彷徨い出しているのではないかという、新たな恐れもまた存在する。
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