広島県府中町にある水分峡森林公園は、自然豊かな景観で知られる一方、夜になると不可解な現象や恐ろしい噂が絶えない場所である。今回は、水分峡森林公園にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
水分峡森林公園とは?

水分峡森林公園は広島県府中町の北東部に位置し、自然の渓谷をそのまま活かした森林公園である。
公園入口の駐車場から続く遊歩道を登ると、大えん堤やケヤキ広場、キャンプ場、草摺(くさずり)の滝、石ころび池、憩いの広場などが点在する。
草摺の滝は、水が幾重にも重なって流れ落ちる様が、武士の鎧の草摺に似ていることから名付けられたといわれている。
また、展望台からは広島湾まで一望でき、日中は自然を楽しむ家族連れや登山客で賑わう憩いの場である。
水分峡森林公園の心霊現象
水分峡森林公園の心霊現象は、
- 夜の石ころび池に現れる少女の霊
- 平家の落人が殺された怨念が残るという噂
- 御堂の中を歩き回る謎の足音
- 写真に白い顔がはっきり写り込む怪現象
である。以下、これらの怪異について記述する。
夜の石ころび池に現れる少女の霊
石ころび池では、夜になると女の子の霊が出るという噂が絶えない。
この少女がなぜ彷徨うのか、その理由は定かではない。
ただ、この辺りはかつて水害に見舞われるたび、上流から花崗岩の大岩「ころび石」が激しく転がり落ちてくる場所であった。
もしかすると、その石に巻き込まれて命を落とした少女の無念が、夜ごと池に姿を現すのかもしれない。
平家の落人が殺された怨念
また、水分峡は壇ノ浦の戦いで敗れた平家の残党が源氏の落武者狩りに遭い、命を奪われた場所とも伝わる。
この地には、刃に倒れ無念を抱えたまま果てた武士たちの怨念が深く染みついているとも囁かれる。
御堂の中を歩き回る足音
公園の駐車場から川沿いに階段を登った先に、祠と小さな御堂が並んで佇んでいる。
昼間はただの古びた建物に見えるそれも、夜になると様相が一変する。
誰もいないはずの御堂の中から、ゆっくりと重たく響く足音が聴こえてくるというのだ。
その足音は、あたかも中を彷徨い歩く何者かが確かに存在するかのように。
写真に映り込む白い顔
さらに、ここを訪れた人々が撮影した写真には、度々奇妙なものが写り込む。
芝生の広場で撮った一枚の背景に、白くぼんやりとした顔がこちらを見つめていた例もある。
キャンプ道具の反射と片付けられないほど、それははっきりと人の顔をしていた。
水分峡森林公園の心霊体験談
実際にこの地で体験した者の話は数多い。
20代の頃、数人の男女で夜の水分峡に繰り出し、御堂の前で宴を開いていた。
食べ物と飲み物が尽き、二人が買い出しに出ると、残った者たちは戻ってくる仲間を脅かそうと御堂と祠の間に身を潜めた。
しかし、静寂の中で御堂の中から「コツ、コツ…」と鈍い足音が響き渡り、誰もいないはずの建物内をゆっくり歩き回るその音に、背筋を凍らせて逃げ帰ったという。
また、別の者は友人と二人でキャンプを楽しみ、帰宅後に撮った写真を確認したところ、持ち上げた肉の向こうにある芝生の左上に、白い顔がはっきりと写り込んでいた。
そのとき感じた駐車場から上がる坂道やトイレ周辺の異様な空気も、思い返せば不気味でしかなかったと語る。
水分峡森林公園の心霊考察
これらの怪異は、長い歴史の中で積み重なった悲劇や怨念の名残なのだろうか。
水害で命を落とした無辜の少女、武士として誇りを持ちながらも非業の最期を遂げた平家の落人たち。
そうした者たちの無念がこの渓谷の深い木々に留まり、夜の帳が下りると姿を変えて現れるのかもしれない。
昼間は美しい自然公園として人々を癒す水分峡森林公園も、夜には決して立ち入ってはならない異界の入口となるのだろう。
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