徳島県那賀町にある鍾乳洞「日店洞」は、犬神の呪術や不可解な怪死、洞口から漂う白い霊気など、数々の不気味な噂が囁かれる場所である。今回は、日店洞にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
日店洞とは?

日店洞(ひみせどう)は、徳島県那賀町の長安日店地区に位置する石灰洞である。
昭和28年、長安口ダムの建設に伴う国道付替え工事で岩盤を削った際、偶然発見された。
全長は約40mとされるが、内部は上下左右に枝分かれし、縦に3〜4層が重なる迷路のような構造を持つ。
落盤の危険や急傾斜、深さ11mもの水没竪穴が存在するため、観光洞として整備されることはなかった。
かつて学術調査も行われ、新種の生物が発見されたが、現在は入洞禁止となっている。
日店洞の心霊現象
日店洞の心霊現象は、
- 洞内の広間に置かれた犬の頭蓋骨
- 犬神の呪術と術者の怪死
- 洞口から漂う強烈な白い霊気
- 竪穴での転落死や水死の噂
である。以下、これらの怪異について記述する。
日店洞の最奥部近く、広間の隅に古びた犬の頭蓋骨が置かれている。
この骨は、かつて犬神の呪術に用いられたものと伝えられている。
噂によれば、術者は儀式のため犬の首を刎ね、その直後に激しい吐き気に襲われ洞外へ逃げ出したが、運悪く落石に直撃され、その場で命を落としたという。
さらに、洞口からは今もなお、冷たい霊気が吹き出しているとされる。
その白い気配は冬の吐息のように濃く、夕暮れ時にはまるで洞窟自体が生きているかのように蠢いて見えることもある。
また、入口から進むと現れる深さ11mの竪穴は、底が水で満たされ、長安口ダムの水位と連動している。
過去にはここへ足を滑らせ、命を落とした者がいると噂される。
渇水期には水が引き、さらに奥の暗黒の支洞が口を開けるが、そこに入った者は二度と戻らなかったという不吉な話も残されている。
日店洞の心霊体験談
ある地元の男性は、若い頃に友人と探検気分で日店洞へ入った。
広間に辿り着くと、薄暗い隅に白く光る物体を見つけた。
それが犬の頭蓋骨だと気づいた瞬間、背後から湿った冷気が襟元を撫でたという。
慌てて振り返ったが、そこには誰もいなかった。
外へ逃げ出そうとしたとき、上方から小石がぱらぱらと降り、暗闇の奥から低いうなり声が響いた。
彼は二度と日店洞に近づかなくなった。
日店洞の心霊考察
日店洞は、鍾乳洞としての地質的価値だけでなく、地元に古くから伝わる呪術と死の逸話が絡み合う特異な場所である。
犬神の呪いは西日本各地で恐れられてきたが、その儀式がこの洞内で行われた可能性は否定できない。
洞口からの霊気は単なる冷風ではなく、内部に封じられた怨念が外界へ漏れ出しているのかもしれない。
竪穴での事故や行方不明者の噂も、単なる不運ではなく、洞そのものが生者を拒む意志を持っていると考えると辻褄が合う。
日店洞は、地図に記された単なる洞窟ではなく、今もなお生き続ける呪われた空間なのである。
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