徳島県徳島市の勝浦川最下流に架かる野神潜水橋は、生活道路として利用される一方で、女性の霊や首のない武者の霊、周囲に漂う異様な寒気など数々の怪異が囁かれる場所である。今回は、野神潜水橋にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
野神潜水橋とは?

野神潜水橋は、徳島県徳島市を流れる勝浦川の最下流に架かる潜水橋(沈下橋)である。
徳島県道120号(徳島小松島線)が走る東岸の野神地区と、堤防上を徳島県道212号(新浜勝浦線)が走る西岸を結ぶ生活道路として利用されている。
現在の橋は平成10年に架橋されたもので、全長96.5m、幅員はわずか2.0mしかない。
それでも自転車や歩行者だけでなく、自動車も通行可能であるが、対向車が来れば避け場で待たなければならないほどの細さである。
橋のすぐ上流には、小松島市の江田潜水橋(江田橋)も存在し、かつての渡し場の名残を残す阿波遍路道の一部となっている。
周辺は川面との距離が近く、流れの速い増水時には容易に水没する危険な構造である。
野神潜水橋の心霊現象
野神潜水橋の心霊現象は、
- 水辺に現れる女性の霊
- 橋や河川敷周辺で感じる異様な寒気
- 首を落とされた武者の霊の目撃談
- 勝浦川の水面に引きずり込もうとする気配
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、多くの証言に共通するのが「女性の霊」である。
夜間、橋を渡っていると、水面に長い髪を垂らした女の姿が立っており、近づくと消えるとされる。
視界の端に映ることも多く、振り返った瞬間にはもう姿がないという。
また、この橋や周辺の河川敷を歩くと、季節や天候に関係なく急に背筋を凍らせる寒気に襲われることがある。
とくに川の中央付近で立ち止まると、耳元で水音とは異なる「すすり泣き」が聞こえるという証言が存在する。
さらに恐ろしいのは「首を落とされた武者の霊」の存在である。
甲冑姿の上半身だけが水面から現れ、首のない胴が橋の下からゆっくりと浮かび上がるという。
古戦場や処刑場の伝承は確認されていないが、地元では古くから「川の底には討たれた武士が沈んでいる」という話が囁かれてきた。
最後に、勝浦川の水面は穏やかに見えて流れが速く、橋の上に立つと足元から引きずり込まれるような圧迫感がある。
これを「水の怪」による引き込みとする説もある。
野神潜水橋の心霊体験談
ある人物は、朝方にバイクで橋を渡った際、川面を覗き込んだ瞬間に強烈な吸引感を覚えたという。
水面が異様に近く感じ、足元から重力とは逆の力で引かれるようだった。
恐怖で顔を上げた瞬間、反対側の欄干に濡れた髪が垂れ下がっているのを見たが、それが何であったのかは不明である。
野神潜水橋の心霊考察
野神潜水橋周辺の心霊現象は、水難事故や過去の人柱伝承など、水辺特有の怨念が背景にある可能性が高い。
橋の構造は水面との距離が極端に近く、濁流時には逃げ場がないため、命を落とす者も少なくなかっただろう。
女性の霊や首のない武者の目撃は、時代も境遇も異なる死者たちが、この場所に縛られていることを示している。
川は時に生命を支えるが、同時に命を奪う存在でもある。
野神潜水橋は、その二面性が最も色濃く現れた“境界”であり、今なお生者と死者の世界を結び続けていると考えられる。
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