大分県にある大久保貯水池には、不可解な事故や奇怪な目撃談が数多く存在する。近くの心霊スポットとして名高い城山霊園との関係も囁かれ、地元では「近づくと何かに引き込まれる」と恐れられている場所だ。今回は、大久保貯水池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
大久保貯水池とは?

大久保貯水池は、大正14(1925)年に築造された人工の貯水池である。
その目的は、大日本製糖大里工場の工業用水を確保することであった。
この地は、もともと明治期から製糖事業の要衝とされ、明治39(1906)年には灌漑水の契約が結ばれ、大久保貯水池の買収が進められた。
送水トンネルの入り口には、当時の大日本製糖社長であり財界の重鎮でもあった藤山雷太による「甘泉」という揮毫が今も残る。
その静かな湖面の下には、産業の発展とともに移り変わった人々の営み、そして不可解な出来事の数々が封じ込められている。
大久保貯水池の心霊現象
大久保貯水池の心霊現象は、
- 池のほとりに現れる正体不明の霊
- 深夜に聞こえる水音と子供の泣き声
- 池にルアーを落とした子供の霊が水中から手招きをしてくるという目撃談
- 浅瀬で溺れたにもかかわらず助からなかった事故の背後に霊園の怨念が絡んでいる
である。以下、これらの怪異について記述する。
正体不明の霊の出現
貯水池の周囲では、夜間に誰もいないはずの場所に白い人影が立っていることがあるという。
近づこうとすると、その姿は水面にすっと溶けるように消えてしまう。
どこかを見つめているようなその姿に、通りかかった者は凍りつくという。
深夜に響く水音と子供の泣き声
誰もいないはずの深夜、突然「ちゃぷん」という水音が聞こえることがある。
その直後に、幼い子供のような泣き声が耳元で聞こえると証言する者もいる。
音の発生源を確かめに行くと、周囲には誰もいない。
水中から手招きをする子供の霊
とある日、池で釣りをしていた少年が、ルアーをポンプ塔に引っかけた。
取りに入ったその瞬間、足を取られ、浅い水深にもかかわらず命を落とした。
同行していた友人は、水中から小さな手が少年の足をつかんで引きずり込むような光景を見たと証言している。
霊園の霊に溺れさせられたというウワサ
大久保貯水池の近くには、心霊スポットとして知られる城山霊園が存在する。
事故にあった少年は浅瀬で溺れており、本来であれば助かるはずだった。
しかし、「霊園の霊が少年を水中に引きずり込んだのではないか」と囁かれるようになった。
そうでもなければ、子供が自力で戻れないとは考えにくい──というのが、地元の者たちの共通認識である。
大久保貯水池の心霊体験談
ある男性が深夜に池の周囲を通りかかった際、ふと池の中央に目をやると、ポンプ塔の近くに白い小さな影が見えたという。
それはまるで水面に立っているかのようで、じっとこちらを見つめていた。
怖くなってその場を離れようとした瞬間、背後から「こっち来て…」と小さな声がした。
振り向くと誰もいなかったが、足元には水滴が落ちていた。近づいてみると、その場だけが異様に濡れていたという。
大久保貯水池の心霊考察
大久保貯水池にまつわる心霊現象は、池で起きた不慮の事故と、近くにある城山霊園の影響が複雑に絡み合っていると考えられる。
池で亡くなった少年の霊が成仏できずにさまよい続けているのか、それとも霊園に眠る怨念が池にまで影響を及ぼしているのか──。
人の命を飲み込んだその水は、今なお静かに見えて、底知れぬ闇を湛えている。
大久保貯水池に近づく者は、何かに引き寄せられるようにして水辺へと誘われる。
そこに立つとき、背後に誰かの気配を感じたなら、もう引き返すべきかもしれない。
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