愛媛県西条市飯岡にある皇子池は、1951年に竣工した灌漑用のため池である。池の名は隣接する熊野神社に祀られる若一皇子に由来するが、この静かな池には「月夜に白い服の女性の霊が現れる」という不気味な噂が伝わっている。今回は、皇子池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
皇子池とは?

皇子池は、西条市飯岡に位置する灌漑用のため池である。1951年(昭和26年)に竣工し、西条市飯岡土地改良区によって管理されている。
堤高は約17メートル、総貯水容量は7万5000立方メートルという比較的小規模の溜池であるが、周囲は人通りも少なく、夜は深い闇に包まれる。
池の名称である「皇子」は、北側に隣接する熊野神社に由来している。
この神社では熊野権現の子神である若一皇子が祀られており、池そのものが神聖な意味を帯びているとも考えられている。
しかし、この静かな農業用水の池には、古くから不気味な噂が囁かれてきた。
皇子池の心霊現象
皇子池の心霊現象は、
- 月夜に白い服を着た女性の霊が現れる
- 池に引き寄せられるように足が進み、水面に吸い込まれる感覚に襲われる
である。以下、これらの怪異について記述する。
皇子池の心霊現象の中でも最も知られているのは「月夜の女の霊」である。
一般に幽霊は闇の中に現れるとされるが、この池では逆に月明かりに照らされた時に姿を現す。
白い服をまとった女性が、月光に浮かび上がるように立ち尽くす姿は、幻想的でありながら同時に異様な不気味さを放っている。
目撃者によれば、池の周囲には外灯がなく、月の光がなければ足元もおぼつかないほどの暗闇であるという。
だが月が出ている夜、ふと視界の端に人影のようなものが映り、その輪郭が白い服を着た女性であると気づいた瞬間、全身が凍りつく感覚に襲われるらしい。
そしてこの霊は、ただ立っているだけではない。見つめられていると、何故か池の方へと足が進んでしまう。
まるで池に招き入れられるかのように。誤って足を踏み外せば、そのまま静かに水底へ引きずり込まれるのではないかと恐れられている。
皇子池の心霊体験談
ある若者たちが肝試し目的で皇子池を訪れた際の話である。
月の明るい夜、池のほとりに立つと、水面がやけに澄んで見え、吸い込まれるような感覚に陥ったという。
その時、友人の一人が「誰か立っている」と小さく叫んだ。指さす先を見ると、池の対岸に白い服の女性らしき影が立っていた。
最初は人間だと思ったが、月光に照らされるその姿には輪郭が曖昧な部分があり、顔もはっきりしない。
ただ、彼らの方を向いていることだけは分かった。
恐怖を覚えた彼らは慌ててその場を離れたが、後になって写真を確認すると、水面近くにもう一人の人影が写り込んでいたという。
皇子池の心霊考察
皇子池に現れる女性の霊が何者であるかは不明である。熊野神社の神域に隣接していることから、信仰や祭祀にまつわる存在ではないかとも言われる。
しかし、月夜にだけ現れるという特徴は、一般的な幽霊の出没条件とは異なる。
月光は古来より神秘と死を結びつけられる象徴であり、その光に照らされて現れる女性の霊は、人を幻想的な美しさで惹きつけつつ、同時に死へと誘う存在である可能性が高い。
皇子池は農業のために造られた溜池であるが、その深い水面には、人知の及ばぬ闇が潜んでいるのかもしれない。
月明かりに照らされる夜、この池に近づくことは決して軽率にすべきではない。
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