高知県安芸市下山の国道55号沿いにそびえる「神木 梛の木」は、車道が木を避けるように分かれて造られたという異様な景観をもつ。今回は、神木 梛の木にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
神木 梛の木とは?

神木 梛の木(なぎのき)は、高知県安芸市下山にある一本の古木である。
国道55号の中央分離帯上にそびえ立ち、車道が木を避けるように分かれているという異様な光景を見せる。
安芸市教育委員会によると、2010年時点で樹齢はおよそ400年、高さは約17メートルとされている。
もともとこの地には、航海安全を祈願する「波切不動尊」が祀られており、梛の木はその御神木であった。
古い伝承によれば、広光金二という漁師(または神職)が嵐に遭った際、漂流の末に梛の枝にすがりついて命を救われたと伝わる。
この木は彼の命の恩木として崇められ、以来、海上安全と厄除けの信仰を集めてきた。
昭和9年の室戸台風で、並んで立っていたもう一本の梛が倒れ、現在の一本が残された。
さらに昭和44年、国道改修の際に伐採される予定であったが、地元住民の強い反対により、中央分離帯として木を囲い残す形となった。
以来、地元ではこの木の前で春の大祭が行われている。
神木 梛の木の心霊現象
神木 梛の木の心霊現象は、
- 木を切ろうとすると病に倒れる
- 夜になると木のそばで人の声が聞こえる
- 通りかかった車のエンジンが急に止まる
- 不動尊の堂付近で白い影が立ち尽くす姿が見える
である。以下、これらの怪異について記述する。
「切ったら病に倒れる」という言い伝えは、国道改修工事の際に実際の出来事とともに語られている。
伐採計画が持ち上がった時、工事関係者の中に体調不良を訴える者が相次ぎ、最終的に工事は中止されたという。
地元では「木の祟りだ」と噂され、それ以降、この木を切る話は誰も口にしなくなった。
夜の国道を走るドライバーの中には、木のそばで「助けて…」というか細い声を聞いたという証言もある。
また、木の近くを通った際にラジオが乱れる、車のライトが一瞬暗くなるといった現象も報告されている。
さらに、不動尊の堂の前に白い影が現れ、じっと木を見上げていたという話がある。
その影は、波に呑まれた漁師・松吉の霊ではないかと噂されている。
神木 梛の木の心霊体験談
ある男性は深夜、安田町方面へ向かう途中、この木の前で車を停めた。
理由もなく、目の前の木が気になったという。
エンジンを止めて外に出た瞬間、背後から誰かが呼ぶような声がした。
振り返っても誰もいない。
車に戻ると、ラジオが砂嵐のような雑音を発していた。
恐ろしくなり急いでその場を離れたが、バックミラーには白い衣をまとった影が、木の根元に立っていたという。
神木 梛の木の心霊考察
この木をめぐる怪異は、単なる噂ではない。
伐採を拒んだ地元の人々の信仰心と、木そのものに宿る霊的な力が結びつき、長い年月を経て“祟り”として語り継がれているのだろう。
また、漁師・金二が嵐の中で命を救われたという伝承も、この木が人と自然、そして死者との境を繋ぐ存在であることを示しているように思える。
夜の国道に立つその姿は、単なる自然の一部ではなく、時を超えて人々の畏怖と信仰を宿した“生きた神木”そのものである。
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