福岡県にある逆瀬谷薬師堂は、病を癒す霊水で知られる一方で、夜になると現れる女性の霊や不可解な怪異が囁かれる場所でもある。今回は、逆瀬谷薬師堂にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
逆瀬谷薬師堂とは?

逆瀬谷薬師堂は、福岡県に位置する古刹である。
境内から湧き出る霊水は、「薬水(くすりみず)」として古くから知られ、特に皮膚病に効能があるとされてきた。
享保15年(1730年)にはすでにその霊水の存在が知られており、江戸時代から多くの参拝者が訪れていたという。
この霊水は福岡県の「水の百選」にも選ばれ、心と体の苦しみを和らげる霊験あらたかな場所として知られている。
また、毎年7月の第4日曜日には、境内の霊水を用いた「そうめん流し」の催しも行われており、普段は地元民や観光客に親しまれる穏やかな場所である。
しかし、この薬師堂には、もう一つの顔がある。
それは“夜の薬師堂”に現れる、恐るべき心霊の気配である。
逆瀬谷薬師堂の心霊現象
逆瀬谷薬師堂の心霊現象は、
- 薬師堂の境内で、若い女性の霊が目撃される
- 深夜になると、薬水の湧き出る場所から複数の呻き声が聞こえる
- 霊水を汲みに訪れた者の中には、帰宅後原因不明の高熱にうなされる者がいる
- 境内の写真を撮ると、白い顔だけが浮かび上がることがある
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も知られているのが、「若い女性の霊」の出現である。
夜間、境内の奥にある薬水の周辺で、白装束の女性が佇んでいる姿がしばしば目撃されている。
その表情は虚ろで、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくるが、途中でふっと消えてしまうという。
地元では、この女性はかつてこの場所で自ら命を絶った者の霊であると囁かれている。
また、霊水が湧き出る地点では、日付や時間に関わらず「誰かの呻き声」や「水面を叩くような音」が聞こえることがあるという。
特に、雨の降る夜にはそうした音がより激しくなり、境内全体に響き渡る。
さらに恐ろしいのは、霊水を汲んで帰った者の中に、翌日から原因不明の体調不良に陥る例が後を絶たないことである。
中には40度を超える高熱にうなされ、医者にも原因がわからないまま数日間寝込むケースもあるとされる。
そして、観光客が境内で写真を撮影すると、「白い女の顔だけが浮かび上がる」心霊写真がしばしば撮れてしまう。
しかもその顔が、水面に映るような歪んだ形で写るため、余計に不気味さを際立たせている。
逆瀬谷薬師堂の心霊体験談
地元の男性が夜に薬師堂を訪れた際、薬水を汲もうとした瞬間、背後から女性のすすり泣く声が聞こえたという。
誰もいないはずの暗闇を振り返ったが、そこには誰もいなかった。
ただ、地面には濡れた足跡だけが続いていたという。
また、ある女性が家族のために霊水を持ち帰ったところ、その晩から家中で「水の流れる音」が止まらなくなった。
蛇口は閉まっており、水漏れもしていない。
それでも耳を澄ませると、確かに「誰かが何かをすくっている」ような音が響いていたという。
逆瀬谷薬師堂の心霊考察
逆瀬谷薬師堂は表向きには癒しの霊水と薬師如来を祀る清浄な場所である。
しかし、霊水という存在そのものが「死と再生」「苦しみと救済」の象徴であり、時として強い“念”を引き寄せる性質を持つ。
かつてこの場所で苦しみを抱えたまま亡くなった者の思念が、水を媒体として現世に干渉している可能性は否定できない。
また、夜になると水辺に集まりやすいとされる未成仏霊が、冷たい霊水に惹かれて現れるという説もある。
「癒し」の裏に潜む「恐れ」。
逆瀬谷薬師堂は、光と闇が共存する特異な霊地であると考えられる。
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