福岡県みやま市の山奥にひっそりと佇む七霊の滝には、壇ノ浦の戦いで命を落とした平家の女官たちの無念が今も漂っているという。複数の霊の目撃や謎の声、人魂などが報告されており、訪れた者の心をざわつかせる場所である。今回は、七霊の滝にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
七霊の滝とは?

七霊の滝(しちろうのたき)は、福岡県みやま市の深山にひっそりと佇む滝である。
人里離れたその場所は、昼間でも薄暗く、湿気と静寂が辺りを包み込んでいる。
この滝には、1185年(文治元年)の壇ノ浦の戦いに敗れた平家の女官たち七人が、逃れてきたという伝承が残されている。
彼女たちは追手の源氏に見つかることを恐れ、逃れる術を絶たれた末、ここ七霊の滝の滝壺に身を投げて果てたとされている。
その後、哀れに思った地元の人々によって、彼女たちを供養するため「七霊宮」が滝の上に建てられた。
この地は今もなお、彼女たちの怨念が彷徨う場所として、心霊スポットとして知られている。
七霊の滝の心霊現象
七霊の滝の心霊現象は、
- 複数の霊の目撃
- 男性の霊が現れる
- 女性のすすり泣く声が聞こえる
- 人魂やオーブの目撃
- 滝壺から呼ばれるような声
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、七霊の滝で最も多く報告されるのが、複数の霊の出現である。
滝壺付近に佇む白い着物の女たち、そして時折、黒い影のような男性の姿が滝の上に見えたという証言がある。
また、静かなはずの山奥で、誰もいないはずの空間から女性のすすり泣く声が聞こえるという現象がある。
特に夕暮れ時、滝の音にまぎれて耳元に響くその声は、まるで助けを求めるかのようである。
さらに、滝壺の水面付近で不自然に漂う人魂、もしくは白く発光する球体(オーブ)を目撃したという話もある。
ある者は、そのオーブがこちらに向かって浮かんでくるのを見たと語っている。
また、滝の横を歩いていると、まるで誰かに名前を呼ばれたかのような感覚に陥り、思わず水面の方に顔を向けてしまうという体験談もある。
これにより足を滑らせる者も多く、命に関わる事故が発生する危険性も否定できない。
七霊の滝の心霊体験談
ある家族連れが、七霊の滝を偶然訪れた際のことである。雨上がりの滑りやすい崖を降りる途中、母親が突然滑落した。
しかし奇跡的に無傷で済み、その後は滝の美しさを楽しみ、「ありがとう」と声をかけて帰ったという。
後日、この場所が女官たちが命を絶った心霊スポットであると知った彼女たちは、言いようのない恐怖に襲われた。もし滑り方が少しでも悪ければ命を落としていたかもしれない。
何かに呼ばれたのではないかと、今でもその出来事を思い出すたび背筋が凍るという。
また、別の訪問者は、七霊宮に参拝した後、写真を撮ろうとした瞬間、突然顔を水面の方向へ向けてしまったという。
「呼ばれたような気がした」と語るその人物は、霊感のない人間であったにもかかわらず、確かな“何か”の存在を感じ取ってしまったのである。
七霊の滝の心霊考察
七霊の滝にまつわる心霊現象の多くは、「非業の死」と「供養しきれぬ霊」が原因とされる。
逃れる術もなく、自ら命を絶った女官たちの無念さ、恐怖、哀しみが、今なおこの滝に染みついているのではないだろうか。
また、男性の霊の目撃情報も存在することから、女官たちを追った源氏の兵や、戦に倒れた他の平家の者の霊が交じっている可能性も考えられる。
さらに注目すべきは、「声に呼ばれる」現象である。
これは霊が生者を水面へと誘う“引き込み”の現象であるとも解釈できる。霊は寂しさや怒りから、生者を仲間にしようとするという説もある。
七霊の滝では、このような霊的引力が強く働いているのかもしれない。
供養のために建てられた七霊宮であっても、その霊たちの全てを鎮めるには至っていない。
今日もまた、七霊の滝では誰かが「何か」に呼ばれ、水面を見つめているのかもしれない。
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