大分県別府市にかつて存在した遊園地「志高ユートピア」。現在は完全に解体され太陽光発電所となっているが、そこには今もなお語り継がれる不気味な心霊のウワサが存在するという。今回は、志高ユートピアにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
志高ユートピアとは?

志高ユートピア(しだかユートピア)は、大分県別府市に存在していた遊園地の跡地である。
開園は1968年、園内には本格的なレーシングカートコース、巨大迷路「ランズボローメイズ」、スペースコースター、さらにはお化け屋敷や宿泊施設までも併設されていた。
隣接する志高湖やラクテンチとの間をリフトやロープウェイが結び、ファミリー層からやや上の年齢層にまで人気を博していたが、2003年に静かにその幕を閉じた。
驚くべきはその後である。
全国各地の廃遊園地が次々と解体されていく中、志高ユートピアは長らく当時のまま放置され、時間と共に朽ちていく様をさらけ出していた。
事務所内には、使われなくなったブラウン管テレビや散乱した書類が残り、錆びたアトラクション群が不気味な静けさを漂わせていた。
まるで人影の消えた「異世界の遊園地」のような異様さである。
2018年、ついに全ての施設は解体され、現在は広大なソーラーパネルが敷き詰められた太陽光発電所へと姿を変えている。
しかし、かつてここに存在していた「何か」は、未だこの地に囁きを残しているのかもしれない。
志高ユートピアの心霊現象
志高ユートピアの心霊現象は、
- お化け屋敷で首を吊った自殺者の幽霊が現れる
- 巨大迷路で謎の「おじさんの霊」が出る
- 園内に数多くの浮遊霊が漂っている
である。以下、これらの怪異について記述する。
お化け屋敷の自殺者の幽霊
最も有名なウワサが、この「お化け屋敷での首吊り自殺者」の霊である。
かつて、ここで男性が首を吊って亡くなったという噂が広まり、それ以降、誰もいないはずの館内からうめき声や軋むような足音が聞こえると恐れられるようになった。
幽霊はお化け屋敷の最奥部、かつて吊り下げ用の仕掛けがあった天井近くに現れるとされる。
見上げた先に、人影が静かに揺れていたという証言も少なくない。
ただし、この自殺に関しては、新聞記事や警察の記録など、確たる証拠は一切見つかっていない。
しかし、異様な雰囲気を纏ったお化け屋敷は今もなお、訪れた者の精神を侵すような重苦しさを宿していたという。
巨大迷路に出る「おじさんの霊」
「迷路でおじさんの霊に会った」という体験談も複数存在する。
彼は決して襲ってくるわけではなく、ただひたすらに同じ場所に立ち尽くしている。
話しかけても反応はなく、背中を向けてふらりと角を曲がり、そのまま消えてしまうという。
遊具の一つであった巨大迷路「ランズボローメイズ」は、海外から導入された本格的な構造を持っていたが、その複雑さゆえ、精神的に不安定になる来場者も多かったとされる。
迷路の中で現れるこの男の霊は、もしかすると生きて帰れなかった“誰か”なのかもしれない。
浮遊霊の群れ
志高ユートピアでは、特定の霊だけでなく、無数の「浮遊霊」が園内を彷徨っているという報告がある。
視界の端に揺れる白い影、唐突に背筋を撫でるような冷気、誰もいないベンチから聞こえる笑い声…。
多くの霊能者は、この地に「残留思念」が集まりやすい土地の性質があると語る。
遊園地という本来は楽しい場所が、無人のまま時間に取り残されていくことで、得体の知れない「空白」に何かが吸い寄せられたのかもしれない。
志高ユートピアの心霊体験談
2015年春、ある探索者が志高ユートピアを訪れたときの記録によると、既に園の一部施設は解体が始まっていたものの、お化け屋敷や迷路、ゴーカートコースなどの主な構造物は依然として残されていた。
お化け屋敷を覗いた際、誰もいないはずの館内からカタン…と何かが落ちる音がし、その直後に「後ろから誰かに見られている」強烈な視線を感じたという。
振り返っても、そこには誰もいなかった。だが、その場を離れようとする足がすくみ、異様な吐き気と頭痛に襲われたそうだ。
この探索者は即座に現場を離れ、その日から一週間、原因不明の悪夢にうなされたと語っている。
志高ユートピアの心霊考察
志高ユートピアの心霊現象には、共通して「未浄化の存在」が見え隠れしている。
お化け屋敷での自殺者、迷路に現れるおじさん、正体不明の浮遊霊たち…。
いずれもこの地に「何かを残して」消えていった者たちである。
心霊スポットとしての知名度に比して、現象の数が少ないとされるが、それこそが逆に不気味さを強調している。
物的証拠がないからこそ、「本当に見た人しかわからない」領域に足を踏み入れてしまうのだ。
廃墟とは、時間が止まった空間である。
そこに人間の記憶や感情、そして霊的な何かが結びついたとき、「志高ユートピア」はただの廃遊園地ではなく、“招かれざるもの”たちの棲む異界へと変貌する。
現在はすでに解体されている志高ユートピア。
しかし、その土地に眠る“声なき存在”たちが、今もなお、ソーラーパネルの下で静かに佇んでいるのかもしれない。
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