非業の死を遂げた崇徳上皇の霊を祀る白峯寺には、今なお数多の怪異が伝わっている。今回は、白峯寺にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
白峯寺とは?

香川県坂出市にある白峯寺は、四国八十八ヶ所霊場第81番札所として知られる古刹である。
弘法大師が白峯山中に如意宝珠を埋め、堂宇を建立したのが始まりとされる。
この地が特に恐れられる理由は、保元の乱で敗れ讃岐へ流され、9年後に謎の死を遂げた崇徳上皇の御霊が祀られている点にある。
怨念深き帝は「日本三大怨霊」のひとりに数えられ、死後には京の都に雷を轟かせたとも伝わる。
境内には崇徳上皇を祀る頓証寺殿、そして上皇が眠る「白峯御陵」があり、四国で唯一の天皇陵として不気味な存在感を放っている。
白峯寺の心霊現象
白峯寺の心霊現象は、
- 夜中になると奇怪な声が聞こえる
- 境内で強烈な悪寒に襲われる
- 棺から血が流れ出たという伝承が残る
- 付近の県道で「空飛ぶ婆さん」が車に突進してくる
である。以下、これらの怪異について記述する。
白峯寺にまつわる怪異の中でも最も有名なのは「棺から流れ出た血」である。
崇徳上皇の棺を葬送する途中、大雨に見舞われ一行が棺を台座に降ろすと、そこには血が滴り落ちていたと伝わる。
これを恐れた人々は「血の宮」と呼ばれる高屋神社を建立し、今もその台石が残されている。
また、八十場の霊水にご遺体を浸していた際、東の丘が毎夜光に包まれたという怪異も伝わる。
その場所には後に「明の宮」と呼ばれる白峯神社が建てられ、鳥居をくぐると突如として風が吹き荒れるという不可思議な体験談が絶えない。
さらに、火葬の炎が三日三晩消えなかったとされる「煙の宮」の伝承や、夜中に境内で人ならぬ声が響くといった噂もあり、この地がただの寺ではないことを物語っている。
極めつけは、白峯寺と根香寺を結ぶ県道で出没するとされる「空飛ぶ婆さん」である。
深夜、走行中の車のフロントガラスに向かって老女が宙を飛んでくるとされ、ドライバーを震え上がらせる怪異である。
白峯寺の心霊体験談
白峯寺を訪れた者の中には「境内で突如として耳元にささやくような声を聞いた」「本堂で手を合わせていると背後から冷気に包まれた」といった証言が残されている。
また、七棟門をくぐった途端に頭痛や吐き気を覚えたという者も少なくなく、参拝自体を途中で断念する者もいるという。
白峯寺の心霊考察
これらの怪異はすべて、崇徳上皇の怨念に由来すると考えられる。
死因が病死か自害か、あるいは他殺であったかは今もなお闇に包まれている。
その無念さは、死後に血を流し、炎を消さず、光を放ち続けるという形で現れたのであろう。
「空飛ぶ婆さん」という異形の存在も、単なる妖怪譚ではなく、崇徳上皇の怨霊が周辺の霊を呼び寄せ、異常な姿で人前に現れているのかもしれない。
白峯寺は単なる札所ではなく、千年の時を経てもなお怨念が渦巻く場所である。
その山中に一歩足を踏み入れた瞬間から、崇徳上皇の怒りと嘆きは生者をも巻き込み、背筋を凍らせる恐怖を与えるのである。
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