岡山県瀬戸内市牛窓町に突如として現れる奇妙な廃墟「水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)」には、静かな海辺の風景に似つかわしくない不気味な噂が絶えない。今回は、水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)とは?
水没ペンション村とは、岡山県瀬戸内市牛窓町鹿忍(かしの)に存在する奇妙な廃墟群である。
正式名称は「鹿忍グリーンファーム」。
元は1980年頃に開業したリゾート施設で、テニスコートやプール、ゴルフ練習場まで備えた比較的大規模なバンガロー村であった。
しかし2004年、台風による排水設備の損壊を契機に冠水が始まり、さらに2011年以降は完全に水没。
現在では屋根の一部が水面から突き出すだけの異様な光景となっている。
周囲は穏やかな瀬戸内海沿岸の田園地帯であるが、この一角だけはまるで世界が崩壊した後の廃墟都市のような雰囲気を漂わせている。
所有者が「水を抜くと興味本位で侵入した人が怪我をするかもしれない」との理由で放置しているため、年月とともに建物はさらに朽ち、悪臭と虫が漂う恐怖の場所となった。
水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)の心霊現象
水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)の心霊現象は、
- 男性の霊が立っているのを見たという話
- 水辺から誰かの声が微かに響くという証言
- 窓の汚れや影が人の顔に見え、こちらを睨みつけているかのように錯覚する現象
- 日没後にただならぬ気配を感じ、一人では到底歩けないと感じる恐怖
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず「男性の霊」の目撃談である。
水没したバンガローの屋根近く、腐った木材の影から半身を覗かせるように立つ痩せた男が見えたという話がある。
声をかけようとすると、ゆらりと溶けるように消えたという。
また夜間、この場所に近づいた人の証言によると、水面の奥から「おーい」と呼ぶような声が届くことがあるという。
だが当然、その水の中に人が立てるはずもなく、音の方向へ向かっても誰もいない。
ただ水だけがどこまでも冷たく濁っているだけである。
さらに多いのは、窓ガラスの汚れや泥が人の顔に見え、こちらを睨んでいるような錯覚を引き起こす現象だ。
昼間でもその視線を感じると、一気に全身の血が冷える。
日没後、この場所はとくに危険だとされる。
空が赤黒く沈む頃、堤防を吹き抜ける風と鳥の不気味な鳴き声しか響かず、自分の心臓の音ばかりがやけに大きく聞こえてくる。
足を一歩踏み出すごとに、背後から誰かがついてきているのではないかという錯覚に襲われるという。
水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)の心霊体験談
ある探索者は、薄暮の中この水没ペンション村に近づいた。
水鳥が一斉に飛び立ち、やけに静かになったその直後、「ザブッ…ザブッ…」という水をかくような音が堤防のすぐ下から聞こえたという。
懐中電灯を向けると、何もいない。ただ濁った水面に、自分の影が異様に細長く映って揺れていた。慌てて車に戻る途中、背後から突然「やめろ…」と掠れた声が耳元で響いた。
恐怖で振り向くこともできず、そのまま必死で車を発進させたという。
この探索者はそれ以来、夜になるとどこからともなく「水音」が耳にまとわりつき、安眠できなくなったと話している。
水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)の心霊考察
水没ペンション村(鹿忍グリーンファーム)の心霊現象は、長い歴史の因果が積み重なった結果ともいえる。
江戸時代から続く塩田の地は、労働や事故で命を落とした者も多く、その怨嗟や未練が土地に染みついている可能性が高い。
さらに、リゾート開発後に水没という悲劇的な運命を辿った建物群は、まるで沈んだ記憶の墓標のように水面から突き出している。
その異様な景観は人の心に無意識の恐怖を植え付け、訪れる者の脳裏に幽霊や声を見せるのかもしれない。
物理的に言えば、朽ちた建物が風や水で軋む音、鳥の声、汚れた窓の模様が錯覚を生むに過ぎない。
だが、この地に足を踏み入れた者は決まって「ここは他の廃墟とは何かが違う」と口を揃える。
その得体の知れない何かが、今も静かに水の底からこちらを見上げているのかもしれない。
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